ただし手数料の安さだけに惑わされてはいけない

昨今特にインデックス型投信での手数料値下げ競争が激化しています。つみたてNISAの選定条件でも信託報酬の上限が設定されていますが、信託報酬が最安であればそれが最適な投資信託といえるのでしょうか。長期投資における投資信託には持続性も求められます。アクティブ型投信の主な選定条件をみると具体的に基準がわかります。

①純資産総額50億円以上
②5年以上の実績
③信託期間の3分の2で資金流入
④信託期間は無期限または20年以上
⑤毎月分配型ではない

5つの条件の理由を読み解く

それぞれどういった理由で定められたか読み解いてみましょう。

①資産規模が小さい場合、満足なポートフォリオを組むことができなくなり、投資信託のメリットである銘柄分散ができなくなります。また、一般的に受益権口数が30億口を割り込むと繰上償還リスクが高まります。せっかく積立投資をしていたのに途中で償還されてしまっては本末転倒でしょう。

②新規設定でもインデックス型投信であればベンチマークとなるインデックスをみればある程度過去の運用成績を想像することができますが、アクティブ型投信の場合はリスクやリターンなど実績の確認がとれません。5年以上の実績があれば、ある程度過去の運用実績も確認でき、純資産総額も安定してきています。特に運用方針通りに運用されているか確認できることは重要な判断材料となるでしょう。

③この条件は逆説的で、継続的に資金流出が続くファンドは避けた方が良いということです。流出が続くと解約資金を準備するために運用方針に沿ったポートフォリオの維持が難しくなります。

④つみたてNISAは最大20年間保有することができますが、20年未満の投信では途中で償還されてしまいます。無期限の投資信託であれば期間を気にすることなく長期積立が可能です。

⑤頻繁に分配すると再投資による複利効果が薄れてしまいます。時間を味方につけてこその長期積立投資です。