3.雑務を身近な人にプチアウトソースする

人間でなければできない雑務はけっこうある

法律で決まっている、物理的にどうしようもない、インフラが整っていないなど理由は様々ですが、いくらIT化や業務の標準化によって減らしても、雑務は細かいところではどうしても出てくるものです。

岡田充弘『やりたいことを全部やれる人の仕事術』(PHP研究所)

たとえば、「溜まった名刺の入力」「インタビューテープの文字起こし」「撮影画像の切り抜きとその境界線の処理」「作成資料の“てにをは”やレイアウトのズレの確認」などの雑務は、いずれも意外と時間がかかります。

こういった雑務に対して、OCR(光学文字認識)や音声入力などアプリケーション機能で対応を完結できたらいいのですが、まだ完璧でないところもあり、結局、後から人間が修正作業をしていたりします。

そんな時に、つい「自分でやったほうが早い」と思って、一人で抱え込みすぎて、結局間に合わないか、心身ともに押しつぶされてしまう、といったことが後を絶ちません。がんばり屋のリーダーにありがちなパターンです。

もしあなたが、問題解決や創作的な活動など、より本質的な仕事に集中したいと思っているのであれば、なおさらこういった雑務に振り回されるのは避けたいものです。

協力者に期待しすぎない

そこでお勧めしたいのが、身近な人に雑務を“プチアウトソース(軽めの外注)”するという方法です。プチアウトソースする相手は、自分の家族や友人、友人の家族、知り合いの学生さんなど、気心の知れた身近な人がいいでしょう。

「クラウドソーシングじゃだめなの?」と思われる方もいるかもしれません。もちろんその選択肢もあるでしょう。ただ、まったくの他人よりも、身近な人のほうが最初の自己紹介や相互理解にかかる時間を省け、意思疎通がとりやすいのではないでしょうか。また、お金を払うことで相手に喜ばれ、長期的な関係構築にもなりえるなど、好循環が生まれるきっかけになります。

プチアウトソースを進めるにあたっては、作業手順や納期、お礼の方法などを、あらかじめ決めておき、先方から快く合意を得た上で(ここが重要)、メールや郵送で依頼します。

ここで気をつけないといけないのが、プロに頼む時と違って、品質のレビューや最終的な完成責任は自分にあるということです。そこを忘れて協力者に期待しすぎて、険悪な雰囲気にならないように注意してください。

実際はあなたが思っている以上に、時間やスキルを持て余している人はいるものです。それらの人にとって、あなたのお願い事は意外とお安い御用だったりします。頼み事の時だけ親切にするのではなく、日頃から身近な人に対して関心と敬意を持ってお付き合いするようにしましょう。

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岡田 充弘(おかだ・みつひろ)
クロネコキューブ代表取締役

外資系コンサルティング会社を経て謎解き企画会社『クロネコキューブ』を設立。700にもおよぶパソコン時短ワザを集めてマニュアル化している。著書に『爆速パソコン仕事術』(ソシム)『結果もスピードも手に入る 神速スマホ仕事術』(すばる舎)『やりたいことを全部やれる人の仕事術』(PHP研究所)『やめるだけで成果が上がる仕事のムダとり図鑑』(かんき出版)『ビジネスマナーと仕事の基本 ゆる図鑑』(監修)(宝島社)ほか。