女性上司が女性部下に厳しくなる本当の理由

実際、この結果だけを見ると、「クイーンビーが女性登用を阻んでいる」と解釈しがちですが、男性が最高経営責任者(CEO)の場合と、女性がCEOの場合に分けて分析を行なうと、女性がCEOの会社のほうが、女性が上級管理職に就く割合が高いということがわかっています。その背景には、女性がCEOに就いている職場ではダイバーシティーが進んでいて、男とか女とか白人とか有色人種といった差別がなく、すべての人に平等に昇進の機会があたえられていたことがあります。

一方、偏見や差別が根強く残り、ダイバーシティーを宣伝するために女性登用をしているような企業では、クイーンビーが増殖するという考え方も示されています。つまり、男性社会が、クイーンビーを生むということです。

クイーンビーが象徴するのは、“男社会で成功した女性が、自分の地位を守るために他の女性の活躍を快く思わない心情”です。“クイーンビー”になるのは、男社会の中で必死で頑張ってきたエリート女性なのです。リソースをうまく使い育児も仕事も完璧にこなすスーパーウーマンで、仕事もできるし、身体もタフ。職場の会社人間時間に適応し、家庭と仕事の両立のためにも、夫とも対等な関係を築いている……。そのため、「“男性社会”でこの地位を手に入れられたのは、自分が頑張ってきたからだ」という自負が強いのです。

当然その裏には、その他の人(女性)より何倍も頑張ってきた希少な人材である、という意識が強くあるため、自分よりぬるく見える女性、或いは自分の地位を脅かすかもしれないような女性への見方が厳しくなり、女性の地位向上には至極冷淡になるのです。

無理なく女性が活躍できる環境をつくらなければ、一時的に女性管理職数を増やしても「後が続かない」ということが起きてしまうでしょう。

女性は男性からも女性からも攻撃される

一方で、特に男性が多い職場でキャリア形成をしている女性は、“いやいや、嫌な女性に輪をかけたようにネチネチした嫌な男・(能力が足りないくせに、いや能力が足りないのにプライドだけ高いからこそ)権力振りかざして物言ってくる嫌な男性っていっぱいいるじゃないか!”と思っている女性も多いことでしょう。

職場等、集団における女性の攻撃の仕方と男性の攻撃の仕方は大きく異なります。男性に比べ力の弱い女性は、攻撃の仕方として、人間関係を利用した間接的な攻撃をすると多くの研究が示しています。悪い評判を流したり、無視をするなど、攻撃対象を孤立させるような手法をとるのが女性の攻撃の特徴です。そして女性は、その攻撃対象として集団の中で女性のみをターゲットにする、というデータもあります。一方男性は自分より弱いものを攻撃する傾向が強く、そこには男性も女性も含まれます。つまり女性は、女性からも男性からも攻撃を受けることになります。