もうすぐ夏のバーゲンが始まる時期になりました。ボーナス支給とも重なり、誰もが心ときめく季節といえるでしょう。ところが気をつけないとバーゲンセールには実に周到な心の罠が仕掛けられているのです。そこで今回は、このバーゲンセールについて考えてみたいと思います。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/TommL)

なぜバーゲンをやるのか

そもそもバーゲンセールとは、一体どういう目的でおこなうのでしょうか? 言うまでもなく、その第一の目的は、商品の在庫をさばくことです。洋服の場合、ファッション性の高い流行の品物については、製品を作るための企画の段階から、実際に生産し、販売するまではとても時間がかかると言われています。ところが、それを販売する期間は限られていて短いのです。そこで、商品の入れ替えがどんどん早くなり、どれぐらい売れるかという予測が難しくなっています。逆に、売れて品物がなくなってしまうと売り上げの機会を失ってしまいますから、それを恐れてつい過剰に作ってしまうという傾向もあるようです。

以前、NHKの番組でこの問題が取り上げられたことがありました。市場に出回っている衣料品は28億点もありますが、その半分は売れ残り、何とそのうちの一部は新品のまま焼却処分になることもあるそうです。それではまるまる損ですね。値段を下げてでも売れれば、その損を小さくすることはできます。だからバーゲンセールをやるのです。

日頃のご愛顧に感謝しているわけではない

みなさんの中にはバーゲンセールは日頃のご愛顧に感謝して、お店が損をしてでも安く売ってくれると思っている人がいるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。商売として考えた場合、バーゲンをやることで利益は増えます。なぜなら焼却処分をしてしまうぐらいなら、少しでも売れて現金が入ってくる方が良いにきまっているからです。

それに売値を下げたとしても仕入れの原価より少しでも上回る価格で売れれば粗利益は出ます。つまりバーゲンセールは儲かるから行なうのです。その証拠にプロ野球のチームが優勝すると関連する百貨店が優勝記念セールをやりますね。ところが優勝しなくても「応援感謝セール」というのをやります。要は何でもいいから理由を見つけて、バーゲンセールをやりたいのです。なぜならバーゲンはお店にとって儲かるからです。