2011年3月2日(水)

大卒学生の3分の2はもはや高卒レベル

人事部証言:英語、スキル、能力……新出世の条件とは【2】

PRESIDENT 2010年10月18日号

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

執筆記事一覧

ジャーナリスト 溝上憲文=取材・構成
人事部の採用担当は「いい学生が採れない」と嘆く。社会構造の変化は企業に多彩な人材、能力、スキルを求めている。今、企業で昇進できる人材の条件を人事部が語りつくす。

不動産学生の質の低下は構造的なものだ。少子化で子どもの数が少なくなっている。今はAO入試が流行っており、有名大学でも入学試験の苦労もしないで入る時代だ。ある大学の先生から聞いたが、この20年の間に、僕らの時代の東大の偏差値と今の東大の偏差値は実質的に7、8ポイント下がっていると言っていたが、実感としてもよくわかる。

化学うちはこれまで技術系では8大学、つまり旧帝大プラス東工大の大学院卒の採用者が多かった。でも最近は以前に比べて質が落ちている。昔は大学院というのはその大学の中でもとくに優秀な人間が行くというイメージだったが、今は就職できないから院に行く学生が多い。東大の大学院でも、このレベルかと思う院生もいる。そのためターゲットを広げて地方の国立大学やアジアの大学から優秀な学生を集めるようにしている。

流通たとえば偏差値60の大学でも、構成する母集団の学生の質が劣化してきていて、おそらく10年前のレベルより低くなっている。たぶん今の早稲田は10年前の明治、中央ぐらいのレベルじゃないかという気がする。そうなると、今の日東駒専というのは昔でいえばどういうレベルなのかな。

サービス今の日東駒専は昔でいえば、大学に行けなかった学生が入っているんだなという気がする。その下の大東亜帝国もそんな感じかな。

IT今の大東亜帝国は大学じゃなくて質的には高校レベルだよ。もう数年前から学歴のインフレ現象が起きている。昔の高卒レベルが今は短大卒、短大卒が四大卒、四大卒が大学院卒というように。今の3分の2の大学は高卒レベルに落ちていると考えたほうがいい。現実に、派遣の仕事をしている四大卒はいっぱいいるからね。

流通それでも日東駒専レベルであれば、勉強づけにならずにいろんな経験をしていると考えれば、おもしろい学生がいるかもしれないという気はするけど。

商社たとえば高校時代は勉強しないでスポーツをやったり遊んだりして、受験が近くなり勉強してなんとか入れるのが日本大学といわれたが、マンモス大学とはいえ、社長クラスも多い。もしかしたらそういう大学に企業を伸ばす人材がいるのではないかという気がする。

サービスじつはうちの社長も高学歴の学生は、優秀だけどおもしろくないとよく言っている。極端に言うと、もっとバカなやつを採れとさえ言っている。一見、優秀には見えないが、何か可能性を秘めた学生を採りたい。でもそういう大学の学生はまず筆記試験で落とされるから面接までたどりつく学生は少ない。だから特別枠で採れないか検討している最中だ。

IT会社が純粋培養できる新卒は一定の数は必要だが、大量採用できる時代ではない。今、採用担当者には2つ指示している。一つは就職協定通りにやった場合に、どれだけの人材が採れるのかというシミュレーション。もう一つは、新卒採用を中止したときに、中途も含めてどういうリソースがあり、各事業部からのオーダーにどのように応えられるのかについて検討するように指示している。

【サービスそういえば武田薬品工業はMR以外は新卒は採らないと聞いているが、すばらしいチャレンジだと思う。国際競争に打ち勝つためには、新卒を育成する時間もない。世界規模で考えると、日本だけが新卒重視というのは難しい。グローバルに戦っていこうとすればそうせざるをえないのではないか。

※すべて雑誌掲載当時

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