ビジネスへのダメ出し、この1時間がほしかった!

ビザスクCEO 端羽英子(はしば・えいこ)さん

東京大学卒業後、ゴールドマン・サックス証券などを経て、アメリカの名門マサチューセッツ工科大学でMBAを取得、と輝かしい経歴に彩られた端羽英子さん。日本に帰国後は、ファンド会社に就職し、5年働いた後に現在のビザスクを起業した。

「ニューヨーク」と名付けられた会議室にて。会社ではカジュアルな服装。

「ECサービス事業を考えていたのですが、アドバイスがほしくて、同様にEC事業を立ち上げた方をご紹介いただいたのです。そうしたら1時間こってりダメ出しをされました。でも当事者ならではの意見の連続にお金を払ってでも、もっと早く聞きたかったと思って。その経験から、モノを売るのではなく、仕事をしてきた中で培ってきた知見、専門性、知識そのものが価値になる、それを求めている人とマッチングさせるサービスでいこう!と考えました」

自身の実体験から1時間の「スポットコンサルティング」のマッチングを始めた端羽さん。起業当初、フルタイムで働いていたのは彼女だけでかなり大変だったが、2013年に経済産業省の事業の1つに採択されたことをきっかけに、徐々に経営は軌道に乗っていった。

起業時に使っていたMac。「それまでWindowsのPCでしたが、初めてのMacにワクワクしました」

「最初は、私のように子育て中の女性も空いた時間で知見を活用してくれるといいと思っていましたが、実際には登録アドバイザーのほとんどが男性。中心は35~45歳の働き盛りの会社員。自分が持っている知見の市場価値を知りたいという気持ちも登録動機の大きな要素になっています。女性もそうあってほしいですね」

ビザスクではアドバイザーへのQ&Aを繰り返すことで、自分でも気づいていなかった強みや専門性が顕在化する。そのキーワードがデータベースに蓄積されることでオンライン上でより効果的に探すことができる。それゆえマッチングが成立する可能性も高くなるというわけだ。また、報酬は受け取らずにNPOなどに寄付することもできる。月によってバラつきはあるが、思ったより寄付する人が多いという。

順調に業績は伸びているが、端羽さんはやりたいことの1%ぐらいしか達成していないと分析する。

「毎日学びがある中で、ゴールがよりクリアに、より遠くに、より大きくなるので常に1%。例えばアドバイザーから『自分の知見を提供して、相手の方から感謝されると、明日からの本業も頑張ろうと思えるようになりました』と言われると、さらに知見の価値を広められるようなサービスを考えたいと思います」