働く女性が身につけておきたいビジネススキルのひとつが、「数字で考える力」。経済知識やビジネス数字の理解が進むと注目なのが、証券アナリスト資格(CMA)。実際に、仕事で活用している女性たちに話を聞きました!
写真=Jacob Lund/Shutterstock.com

日本最大級のコスメ・美容の総合サイト「@cosme」などを運営するアイスタイルに勤務するIR室長、小川里美さん(CMA)。株主や投資家に対して、会社の財務状況やサービス内容など必要な情報を提供するIR(投資家向け広報)を担当している。投資家とのIRミーティングや国内外のカンファレンス、役員との決算資料の相談など仕事は多岐にわたる。

「決算や財務諸表など会社で公開している数字は誰でも見れば分かります。でも、その数字の背景にある会社の思いや取り組みなどを伝えるのは、私の役割。例えば、弊社ではネットショップだけでなく、リアル店舗の運営、プライベートブランドの展開など幅広いサービスがあり、外の方々にどう伝え、理解してもらうかは難しくもありますが、やりがいもあります」

アナリストやファンドマネジャー、投資家と話すときに、持っていてよかったと思うのが「証券アナリスト(CMA)」の資格だ。

「資格の勉強をしていくうちに経済の仕組みや証券分析などを学べたことで、深い知識を持った専門家の方々に近い目線で話ができるようになりました」

最初に資格取得を勧めてくれたのは、初めてIRを担当することになった前職の上司だったという。

「最初は、実務で分からないことがあるとテキストを読み、また実務に生かす、ということを繰り返していました。試験前は、会社の長期休暇を使って3週間集中して勉強し、取得しました。財務や経済についてだけでなく、証券分析や職業倫理などもきちんと学ぶことができたのはよかったです。勉強と実務が重なってきたのを感じました」

知識がついたことで、IRミーティングでも投資家が求めている情報が理解できたり、市場全体の動きが読み取れるようになったという。

「IRは、数字が読めるだけでなく、外の人に会社を理解してもらう広報的な役割も強いのでコミュニケーション力も大事。今後は社内の人にも外からどのように評価されているのかを、もっと伝えていけるように取り組みたいです」

HOW TO STUDY

学習スタイルは短期集中型

会社の長期休暇を使って3週間集中的に勉強!

過去問を繰り返し解いた

 
資格をとって変わったこと

WORK

アナリストやファンドマネジャーに近い目線で話ができ、自信につながった

PRIVATE

世界のニュースを聞いて、経済の動きとの関連性が理解できるようになった


ニュースから株価変動予測、自身の資産運用にもプラス

日本証券金融 貸借取引部
石田苑実さん(CMA)

「自分たちが扱っている商品(株式)がどんな背景で使われているかを理解したくて、証券アナリスト資格(CMA)の勉強を始めました」と話すのは、日本証券金融に入社5年目の石田苑実さん。個人ではなく、証券会社に株式や資金を貸し出す貸借取引という珍しい金融業務を行う会社だ。

大学では経済学を専攻していたが、実際に働き始めると証券や金融についてイチから勉強することが多く苦労したという。

「証券アナリストの1次試験合格は、会社で必須だったのですが、この勉強のおかげで仕事への理解が深まったので、そのまま2次試験の勉強を自主的に続けました。受験科目のうち『経済』や『財務分析』は大学や簿記の勉強で学んでおり違和感がなかったのですが、『証券分析とポートフォリオ・マネジメント』は私にとって初めて学ぶ分野でした。でも、『財務分析』と並行して勉強しているうちに関連が多いことに気づき、相乗効果で理解が深まりました」

受験当時は、まだ入社2、3年目で覚える業務も多い時期。平日は退社後、そのまま図書館に行って遅くまで資格の勉強をしたという。

「科目ごとに資格スクールの教材DVDを見て勉強しては、実際に問題を解くことを繰り返しました。1次で学んだ内容を2次ではさらに掘り下げるので、より深く背景を理解できましたね。時には同期と一緒に勉強したり、分からないところを先輩たちに聞いたりして、励まし合いながら取り組めたのがよかったです」

資格取得後は、金融機関へ株式を貸し付けるレートを判断するとき、投資家視点での株式のニーズの大小が分かるようになった。さらに、海外の出来事と国内の株式の動きの関係をニュースから予測できるようになったことは、自分の資産運用にも役に立った。

しかし、法律や税制度が変わるたびに勉強が欠かせない仕事。今後もスキルや経験値を上げるため、勉強を続けていきたいと意欲的に語ってくれた。

HOW TO STUDY

平日退社後、計画的に学習

就業後に図書館やカフェに行って集中

財務分析で計算ミスをしないように何度も確認

 
資格をとって変わったこと

WORK

各ニュースが業務に与えるインパクトの大小を、判断できるようになった

PRIVATE

ニュースと株価の関連性が分かるようになり、自分の資産運用にも活用できる

証券アナリスト(CMA)ってどんな資格?

会社の実力を見極めて、株価がその会社の実力を正確に表しているのかどうかを分析するのが“証券アナリスト”。そのために必要な知識を勉強できるのが、“証券アナリスト資格”です。企業財務や投資理論の学習、資本市場の理解、M&Aに必要な知識が得られます。

◆サポート体制
Web上の練習問題や「数学入門講座」などスクーリングも充実

◆CMAの活躍は証券会社に留まらない

Edit&Text=岩辺みどり Photograph=むかのけんじ