この店は、最高です! 絶対に、また来ます!

「おかわり自由」をセルフサービスに変えたら、お客さまが「この店は、最高です!」「絶対にまた来ます!」と言い出した。メニューも一緒、味も一緒、料理人も一緒、サービスをしている人も一緒だ。セルフに変えたのだから、むしろサービスは落ちたはずだ。ところがお客さまからの評価は一気に上がった。売り上げは50%増え、利益もバーンと増えた。これには、考えさせられた。

「ごはんを食べているまさに今、漬物がほしいんだ!」とか「ひとかけら残っているとんかつで、あと少しごはんを食べたいんだ!」とか、お客さまにしかわからないタイミングがある。漬物やごはんをタイムリーに提供できないことで、「もういらねぇよ!」という大きな不満足を作ってしまっていた。セルフサービスへの変更で、店に充満していた不満足が、すべて消えたかのようだった。

客に叱られてたどりついた「商売の鉄則」

何年か前のクリスマス、小さなクリスマスツリーをプレゼントする企画を考え、広告に載せた。配布を始めると、お客さまが「なんだ、こんなにちっちゃいのかよ!」と怒り出した。「なんだよ、バカにするな!」と言って帰ってしまう方もいた。無料であげているのに……。このときは、落ち込んだ。

結局、期待感を高めすぎるとギャップが出てしまう。期待外れだったときのお客さまはとてつもなく厳しい。逆に、あまり期待していなかった店が、予想以上だったときのお客さまの喜びぶりはすごい。「ここいいじゃん!」となって、「好き」のスイッチが入る。

私は、むやみに期待を上げる「バイキング」だとか「食べ放題」だとか、一切言わないことにした。サービス磨きは一所懸命やるが、ひっそりとやるのがいい。派手に宣伝して、期待させたら終わり。自信があるものほど、宣伝しないほうがいい。これが「商売の鉄則」のように思う。

そして今、「1軒だけの実験」という形で、セルフコーナーをひそかにパワーアップさせようとしている。