「ルール」や「常識」に従ったままでいいのでしょうか。人間関係に気をつかって「お人よし」を演じていれば、心はどんどん疲弊していきます。エッセイストで講演家の潮凪洋介氏は、「『ちょっとウザい』と言われる人は、周囲からのツッコミを受け止める覚悟と度量を持っている。それがない人は仲間をつくれない」と説きます――。

「出会い」を楽しめる人とそうでない人の差

仕事やプライベートにおいて出会いを楽しみ、人脈を広げ、コミュニティーをたくさんつくり続ける。これを楽しめる人とそうでない人の間には、人生全体における充実度に大きな差が生じます。

「いい人」に限って、この「自分から新しく仲間を増やす」といった行為が苦手で、積極性がありません。人当たりが良く、調和を大切にするので敵はほとんどいないけれど、反対に仲間と呼べるような人間関係も限定的なのが「いい人」というわけです。

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「いい人」は、内輪のときにはニコニコと人柄の良さを発揮しますが、知らない人が集まるパーティーなどでは挙動不審になります。おどおどした態度が目立ち、同じ業界の仕事の話など会話のテーマがないと、まったく会話を展開できません。自分のアイデンティティーをどこに置いて話せばいいのかわからなくなるのです。

これでは新たな出会いはストレスそのものです。結果、人脈は社内だけといったような、閉じられた世界での人生を送るようになってしまいます。

心当たりのある人は、もっと人生を有意義にするために、とにかく初対面の人に慣れて、多彩な人脈をつくることをおすすめします。

相手の出身地や趣味をさりげなく聞き出しておく

まずは個人のつながりをたくさんつくることです。具体的には、初めて会い、名刺を交換した人に、その日のうちか翌日に「会えたこと自体に感謝するメール」を送るのも1つの手法です。個人のつながりをつくるに際しては、名前を覚えてもらうことが何より重要なのです。会ってから間隔をおかずにメッセージを送ると、名前を覚えてもらいやすくなります。

初対面のときに、相手の出身地や趣味をさりげなく聞き出しておくことも有効です。相手のアイデンティティーの一端を知っていると、別の機会に顔を合わせたときも会話のきっかけをつくることができます。

個人のつながりが多くできたら、知り合った人同士を引き合わせて、小さなコミュニティーをつくりましょう。コミュニティーは10個でも20個でも、とにかく数を増やすことをめざします。数が増えると、学生のときにつくられた人脈のように利害関係のない絆を築くことも可能です。

「いい人」は人柄が良く、他人を不快にさせることがないのですから、本来、自分が中心になってコミュニティーをつくることができるはずです。それができていないのは、ひとえに「人脈を広げたほうが人生は充実する」という自覚がないからです。

繰り返しになりますが、初対面の人には名前を覚えてもらうように心がけましょう。そのように意識することが、人脈づくりの第一歩になります。