駅伝とマラソンを「両立」させる秘策があった

マラソンで結果を残すためには、2~3カ月の練習期間が必要になる。ところが、シーズンのど真ん中である正月に全日本実業団駅伝がある。マラソンは42.195kmの戦いだが、ニューイヤー駅伝は最長区間が22.4kmで、他の6区間は8.3~15.8kmしかない。当然、マラソンと駅伝のトレーニングは変わってくる。よって、駅伝はマラソンの邪魔でしかない。それが多くの選手の本音だ。

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全日本実業団駅伝での名門チームといえば、2000年以降に8度優勝しているコニカミノルタと3度優勝しているトヨタ自動車だ。しかし、この2社に所属する選手は、マラソンでは結果を出せていない。両チームの日本人最高タイムは野口拓也(コニカミノルタ)の2時間8分59秒と、尾田賢典(トヨタ自動車)の2時間9分03秒だ。

近年マラソンで結果を残している前出の大迫や川内優輝(埼玉県庁)の共通点は、駅伝の“縛り”がないことだ。大迫が快走した昨年12月の福岡国際では、好タイムを期待されていた佐藤悠基(日清食品グループ)が思うような結果を残すことができなかった。11月の全日本実業団駅伝の予選会で脚を痛めたからだ。こうした例はひとつやふたつではない。駅伝はマラソンの障害となっていると言わざるをえない状況だ。

▼駅伝・マラソンの開催日程をチェンジせよ

では、駅伝がマラソンの“邪魔”をしないようにするにはどうすればいいのか。

実は、スケジュールを見直すことで、かなりの部分が解決できる。たとえば、2、3月に行われている代表選考レースを、11~1月に前倒しすると同時に、現在元日に行われている全日本実業団駅伝を3月にスライドするのだ。

どのチームも夏には北海道や標高の高い涼しい場所で距離を走り込むため、夏合宿から11~1月のマラソンレースに臨む流れは自然なかたちになる。そして、駅伝はトラックの長距離種目(5000m、1万m)と距離が近いので、トラックシーズにつながりやすい(4~5月にはサーキットや記録会、6月には日本選手権が開催されている)。スケジュール見直しにより、マラソンも駅伝もスムーズに両立できるのだ。