ここ数年、高級時計ブランドの世代交代が進みつつある。長年CEOを務めた人物からフレッシュな顔ぶれへとトップが交代したブランドが少なくない。1755年創業のスイス・ジュネーブの老舗、ヴァシュロン・コンスタンタンもその一つだ。新CEOのルイ・フェルラ氏と、このブランドの時計を熟知するスタイル・アンド・ヘリテージディレクターのクリスチャン・セルモニ氏からブランドの展望を聞く。

初開催の超VIP向けイベントから見えたもの

ヴァシュロン・コンスタンタンは創業から260年以上もの間、事業を間断なく継続する最古参のウォッチブランドである。18世紀、ブランドの草創期には彫金や宝飾の技術を駆使した美しい懐中時計で上流貴族を魅了し、20世紀の腕時計の時代になってからも、アメリカやスイスの天文台が主催する精度コンクールで第1位を多数獲得。薄型ムーブメントの開発でも頂点的な一角を占め、ドレスウォッチの洗練度でも群を抜く。ウォッチブランドとしての歴史の豊かさと、その中で培われた技術やノウハウはまさに業界随一と言っていいほどである。

ヴァシュロン・コンスタンタンCEO、ルイ・フェルラ氏。ベルギー生まれ。フランス・リヨンのビジネススクールを卒業後、大手小売企業や時計専門商社を経て2001年リシュモン グループに入社。06年からカルティエに在籍し、中東、インドなどのリージョナル・ディレクターや中国のCEOを歴任した後、カルティエ・インターナショナルの要職に就く。16年10月、セールス&マーケティングのマネージング・ディレクターとしてヴァシュロン・コンスタンタンに入社。17年4月より現職。

2017年4月、このヴァシュロン・コンスタンタンのトップが12年ぶりに交代した。新しく就任したのがルイ・フェルラ氏。同ブランドが属するリシュモン グループに入社して15年、主に中東やアジア、中国エリアでセールスやマーケティングの要職を歴任してきた人物である。

「目利き向け、愛好家向けのブランドであること、エレガントかつアンダーステートメント(控えめ)であること、そして長い歴史があること。これらがヴァシュロン・コンスタンタンのアイデンティティーだと分析している。私のミッションは目利きや愛好家をこれからも驚かせ続けること。いろんな選択肢がある中からわれわれを選んでもらう必要がある。今回、ユニークピースだけを集めたイベントを初めて開催したが、これもその一環。あらゆることができる力量があることを顧客に知ってほしくて開催した」

イベントとは、去る10月に京都で開催されたVIP向けイベントのことで、展示されたのはすべてが一点もののユニークピース。グランド・コンプリケーションをはじめ工芸的な時計やハイジュエリーウォッチもあり、また腕時計から懐中時計、クロックまで、その数何と70点以上。写真をお見せできないのが残念だが、時計技術の深さ・広さ、創造性の幅広さ、芸術性の豊かさ……など、目にした取材陣の誰もがこのブランドの力量を思い知るイベントだった。