あるひとつの選択肢を選ぶことは、ほかの選択肢を「しない」と決めることでもあります。「プレジデント ウーマン」(2017年12月号)では、「しない習慣」という特集を組みました。その中から、46歳で「産まない」という決断を下したある女性のエピソードをご紹介します――。

31歳から52歳まで10人の「決断」

「プレジデント ウーマン」の最新号では、本当にやりたいことや、大事なことだけに打ち込むための「しない習慣」を提案しています。それは日々の習慣にとどまらず、人生の大事な決断でも同じこと。あるひとつの選択肢を選ぶことは、ほかの選択肢を「しない」と決めることでもあります。

特集内の「泣いた、笑った 10人の決断ストーリー」では、産まない人生を選んだ人、離婚を決意した人、安定を捨てて会社を飛び出した人など、31歳から52歳まで10人の「決断」を取材しました。このうち46歳で「産まない」という決断を下したマサヨさんさんのストーリーを紹介させてください。

▼マサヨさん(46歳)の「産まない」決断

小柄で細身なマサヨさん(46歳)は、一見30代に見える若々しい女性だ。ボディボードにはまり、サーフィン関連の仕事をしていた時に出会った元Jリーガーの夫とは約4年の同棲を経て、34歳で結婚した。

「小さい頃から、結婚して母になることが夢でした」と話すマサヨさんは、子どものいない将来を露ほども想像したことがなかったと言う。

プレジデント ウーマン 2017年12月号「『しない』習慣」

不整出血の治療をきっかけに、結婚後1年経たないうちに不妊治療をスタートさせたマサヨさんだったが、検査しても悪いところは見当たらない。原因がわからないまま時間だけが過ぎていった。そして38歳のとき、訪れた婦人科で、「加齢ですね。卵子は老化するし、数も減っていくんです」と言われた。

「ショックでした。女優さんが40代で妊娠した話もよく聞くし、タイムリミットがあるとは思っていなくて」

治療開始から4年、「最後の砦」と思っていた体外受精を開始した頃から、心のバランスを崩しはじめた。

仲の良かった母には不妊治療の話をしたが、「そのうち授かるわよ」と軽くあしらわれた。20代で子どもを3人産んでいる母には、不妊の苦しみがピンときていないようだった。

誰にも相談できず、妊娠しない自分を責めてばかりの日々。

「検査で良い兆候があっても、気持ちを浮きたたせては失望することの繰り返し。2度の流産を経験し、ぬか喜びに疲れ、感情にフタをするようになっていきました」