「タンブール」といえばルイ・ヴィトン・ウォッチのアイコン的コレクション。その誕生から15年を迎えた今年開かれた、タンブールの新局面。
ハムディ・シャティ氏
ルイ・ヴィトン マルティエ
ウォッチ&ファインジュエリー
ヴァイスプレジデント

1967年スイス生まれ。マイクロテクノロジー・エンジニアリングと時計学を修めた後、パリのエセック経済商科大学院でマーケティングを学ぶ。93年よりリシュモン グループのピアジェでキャリアを積んだ後、ハリー・ウィンストンやモンブランを経て2010年1月より現職。ルイ・ヴィトンのウォッチ&ジュエリーの総指揮官。自身、タンブールの大ファンだというハムディ・シャティ。新作のGMTモデルを手に満足げの表情を見せる。

デザインは鮮度が命、広がる「タンブール」ワールド

「優れたデザインを鮮度が落ちないうちに発表できる体制を整える」

この人のビジョンは明確だった。2012年にルイ・ヴィトンのウォッチ&ジュエリー部門のトップに就任するやいなや、ムーブメント製造工房のラ・ファブリク・デュ・タンとダイヤル製造を手がけるルマン・カドランを傘下に収める。それまでデザイン面では一目置かれる存在だったものの、ルイ・ヴィトンを機械好きの時計愛好家が関心を寄せる地位にまで押し上げたのは、これらを主導したハムディ・シャティの手腕によるところが大きい。3年前にはそれら二つの工房とデザイン、組み上げなどの全部門をジュネーブの新しいファクトリーに集約。製造体制強化の道が一つの到達点に至った。

このシャティ氏のもう一つのミッションが「タンブール」の拡充だった。これまでもタンブールの派生デザインをいくつか発表してきたが、今年の「タンブール ムーン」のプレゼンテーションはそれらとは意気込みが異なる。

「タンブールといえば丸みを帯びた優しい印象でしたが、これは現代的でシャープな印象。同じタンブールでもまったく異なるテイストを打ち出せた。デザインのきっかけは渋滞中に前に止まったBMW。一昔前は外側に膨らんだボディだったのがいまはすっきりとシャープになっていた。それを見たデザイナーがデザインを創案、半年ほどで完成品の発表までこぎ着けた」。同コレクションの最上位機種がジュネーブシール取得のフライングトゥールビヨン。輪列やブリッジの洗練された意匠はさすがルイ・ヴィトンだ。

高性能と美観の証し、ジュネーブシール取得
「タンブール ムーン フライング トゥールビヨン 『ジュネーブシール』認証モデル」。自社製のフライングトゥールビヨンを搭載。9時位置のLVのモチーフは好みの英字にカスタマイズ可能。●Pt。ケース径42.5mm。手巻き。アリゲーター・ストラップ。2620万円(参考価格)。受注生産〈ルイ・ヴィトン クライアントサービス〉