目上の人の心を動かしたいなら、相手の性格を鋭く見抜き、戦略的に対応するのが早道。『超一流の雑談力』の著者・安田正さんが、5タイプ別の上司の見分け方と、雑談の効果的な使い方を伝授します。

タイプ3:データ重視の分析家 -感情に訴えず、数字で根拠を示す

▼頭のキレる合理主義者は数値的メリットに弱い

イラスト=白根ゆたんぽ

論理的かつ理性的。感情に左右されず、データを根拠に話を進める分析家タイプは、研究者や医者などによく見られます。目立った服装は好まず、常に背筋を伸ばして話すことが特徴です。話し方は淡々としていますが、知的好奇心が強いので、マニアックな話になると熱弁をふるうこともあります。

そんな彼らに対して、雑談で盛り上げたり、感情に訴えても無意味。「全員で力を合わせれば……」とアピールしたところで、冷たくあしらわれるのがオチです。

自分自身が納得しないと先に進めないので、結論をせかさないことも重要。「今、決めていただかないと……」とこちらが焦りを見せても全く意に介しません。ですから、会話では数値的なメリットを強調しましょう。「こちらのほうが30%お得です」というように合理性を訴えるとよいでしょう。

横道にそれず、順を追って話すことも大切。例えば、Aという事実があり、次にBがある。さらにCがあって、結論としてDになるというように、複数のステップがある場合は省かずに伝えます。その先にあるEまで話して、将来の見通しを示すと、より効果的です。

ただし、納得できない点があると頑として引き下がらず、重箱の隅をつつくような質問をしてくることもあります。そんなときは結論を急がず、忍耐強く対応しましょう。こちらからコントロールするのは困難ですが、「○○さんの資料はやはり信頼できますね」と、相手の能力をたたえ、寄り添うことで歯車がうまく回り始めることもあります。

▼6つ以上あてはまったらこのタイプ!
□ 目立つ服装は好まない
□ 中間色を身につけることが多い
□ 背筋を伸ばして、きちっとした態度を示す
□ ビジネスライクな挨拶をする
□ 淡々とした話し方
□ 横道にそれることなく、順を追って話す
□ 事実や数字を根拠に話を進めたがる
□ 重箱の隅をつつくような質問をする
□ マニアックな話をすることがある
□ 納得がいかないと何度も質問する

安田 正
株式会社パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役。早稲田大学理工学術院非常勤講師。ロジカルコミュニケーション、プレゼンテーション、対人対応コーチング、交渉などの領域で講師、コンサルタントとして活躍中。30万部超のベストセラー『超一流の雑談力』(文響社)など、著書も多数。

木下真之=構成 白根ゆたんぽ=イラスト