三越伊勢丹は今年の正月、一部店舗で2日間休業し3日に初売りを行いました。三越日本橋本店など3店舗では、4月から営業時間を30分短縮し9時間営業に変更。2009年からは2月・8月に定休日も設けています。こうしたチャレンジで売り上げは下がらないのか? 何のために「労働時間短縮」という働き方改革に取り組むのか? 三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長にうかがいました。
(左)大西洋社長(右)白河桃子さん

売り上げへの影響は?

【白河】記事を読まれる経営者の方にとって一番気になるのは、営業時間を減らすことで売り上げへの影響があるのかということだと思います。実際、影響はありましたか?

【大西】やっぱりありますね、多少は。その多少をどう見るかです。百貨店は衰退産業とあちこちで言われています。ダメになった理由のひとつは、短期的なものの見方しかしてこなかったことです。日々の売り上げで見れば、瞬間的には下がります。しかし私は3年後、5年後に、結果的にプラスに戻ってくればいいと考えています。

【白河】3年後、5年後に、御社はどういうポジションにありたいのでしょうか?

【大西】百貨店そのものが、どんどん縮小していきますので、百貨店そのものの形態が変わっていくでしょう。いま、売り上げでは一番ですが、やっぱり一番大切なのは、働いている従業員にこの会社で働けてよかったと感じてもらえることです。先日も東洋経済さんから2年連続で女性の働きやすい会社として選んでいただきました。現実は上司が、育休復帰後の女性を本来復帰させるはずのポジションにつけていなかったりと、まだ追いつかないところもあるのですが。

【白河】現場の細かいところまで見ていらっしゃいますが、コミュニケーションはどうやって?

【大西】店頭で声を聞きますし。あとはLINEとか。

【白河】社員とLINEをしていらっしゃる?

【大西】全員ではありませんが、例えばアワードをとったグループ、プロジェクトのグループLINEに入れてもらったりしています。ありたい姿は、名実共に、本当に働きやすい会社になることですね。