安倍政権は、予防に重点化した医療制度改革、企業による健康投資の促進などに加え、意欲あふれる高齢者に多様な就労機会を提供するなど「生涯現役社会の実現」を掲げています。みなさんは、この生涯現役というキーワードについてどう思いますか?

嶋本さん/外資系メーカーの管理職。住む所だけは現役時代に確保し、衣・食は老後に稼いでいく。既婚、子ども1人。
大熊さん/金融業界に勤務。老後は積極的に働こうとは思わない。61~62歳で何か新しいことを始めたい。独身。
北田さん/最近結婚したばかり。年金は信頼できないので、お金の運用を開始。定年後も社会とつながっていたい。
山川さん/メーカー勤務。老後は楽しみながら働いて食べていけるだけのお金を得られればいい。独身。
田所さん/外資系企業勤務。老後はお金のために働くより、趣味(好きなこと)でお金を稼ぐような生活をしたい。独身。

※キャリア女性のための転職サイト「ビズリーチ・ウーマン」(https://woman.bizreach.jp/)の協力を得て5人の方にご参加いただきました。

高齢者が働くためには、親を預ける施設の整備が必須です

【大熊】今までは一定の年齢になったら強制終了になっていたのが、やる気のある人は積極的にチャレンジできる社会になるのはいいことだと思います。

【嶋本】みな、体が動く限りは社会とつながりを持っていたいと思う。だから、いいことだと思う半面、年金の破綻などにより、いや応なく、みなが働かなくては生きていけない社会なら、不安ですね。各人の価値観や状況に合わせて、働く・働かないの選択ができるのがベストだと思います。

【田所】私はデメリットも大きいと思います。というのも、私の直属の上司が“老害”そのものだから(笑)。前歴だけは立派なのですが、エクセルもパワーポイントもろくに使えない。外資系なのに英語もしゃべれない。退職金で生涯暮らせるはずなのに、奥さんに家にいるなと言われ、仕方なく勤めているらしいですが、子守はおうちでしてください、企業に押し付けるなと思ってしまいます。

【大熊】スキルがあればいいのですが、スキルのないシニアを企業が抱えなくてはいけないがために、新卒採用が抑えられる、若手が活躍しにくい、なんてことになったら、本末転倒。困りますよね。

【山川】スキルが更新できない高齢者に加え、今まで専業主婦だった人、プライベートを優先して派遣社員など非正規雇用の選択をした人などの職業訓練も欠かせないと思います。そういう人がずっと働けるような公的支援は必要です。

【北田】私が前にいた会社では、みんな40歳前後で、独立したり転職するなど、「第二のキャリア」を始める。40歳ならまだ若く、気力もあるし、短期で力がつく会社なので、それが可能なんです。そう考えると、60歳を過ぎて「第二のキャリア」を始めるのは、正直、きついかなとも思います。本来であれば、それ以前に人材流動化がもっと進み、個人個人が自分のキャリアは自分でつくるんだという意識を高めておくことが重要。つまり、大人のキャリア教育が必要なのかもしれません。