【羽田】僕のような貧乏人ほど、お金のことを考えるわけですよ。将来が不安だから。給料の高い人と話をすると「確定拠出年金って何?」などと何も知らない人も多い。でも、僕は貧乏時代に多少なりともお金について調べたり考えたりしたおかげで、収入が急に増えても無駄遣いせずにすんでいます。

【山崎】どんな形で貯蓄や運用をしてきたのですか。

山崎 元●経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。12回の転職を経て現職。

【羽田】山崎さんの本を手にしたのは、確定拠出年金を調べるためでした。拠出限度額の月額6万8000円を、それにあてています。個別株も買ったりしました。でも、数千円、数万円でも損することが何度かあると、もうビビっちゃって、今は控え気味です。

【山崎】将来もらえるであろう国民年金は、今の貨幣価値で月額6万5000円程度。これだけでは足りません。そこで確定拠出年金に目を付けるというのは賢明です。毎月の掛け金は所得控除されますし、運用期間中は儲かった分に非課税というメリットがあります。

【羽田】じつは株式投資で少し痛い目に遭ってからは、高配当銘柄ばかり買った時期もありました。投機的な短期売買で稼ぐよりは、長期投資だったら安心だし、かつ高配当銘柄なら効率よく稼げるんじゃないかと考えたのです。

【山崎】極端な言い方をすれば、「高配当」は「不人気」と読み換えられます。ただ、それが必ずしも悪いわけではありません。人気者がさらに人気を集めることに賭けるより、不人気者がちょっとだけでも人気が出るほうに賭けるほうが効率がいい場合もありますから。とはいえ、配当や分配金で客を釣るといったマーケティングは現にありますので、配当などのインカムゲインに気をとられすぎるのは要注意です。