景気変動の激しい昨今、株を買うにしても就職先を決めるにしても、なんとなくイメージで選ぶのではなく、経営実態をつかみ自分で判断することが大切です。今回は、就活人気1、2位を誇るANAホールディングスと日本航空の経営実態を、有価証券報告書と決算短信から読み解いてみましょう。

憧れの業界、圧倒的人気の航空会社

5月といえばゴールデンウィーク。大型連休を利用して毎年のように旅に出かける人も多く、大手旅行代理店のJTBによれば2016年のゴールデンウィークは、1泊以上の旅行者総数が2395万人以上に上ったそうです。実に国民の約5人中1人が泊まりがけで旅行をしている計算となります。それだけ日本人は旅行好きだと言えるでしょう。

そして、旅行に欠かせないのが交通機関です。中でも長距離移動となると、飛行機を利用する機会がぐっと増えます。空を飛ぶ非日常感や未知の地に旅立つ興奮から、飛行機に特別な思いを寄せる人は少なくありません。そのため、パイロットやCA(キャビンアテンダント)は昔から人気の職業でした。

実際に、採用関連サービス会社の学情が2016年4月に発表した「2017年卒 就職人気企業ランキング【速報】」によれば、全日本空輸(以下、ANA)が2年連続で1位に輝き、2位には前年7位であった日本航空(以下、JAL)が浮上。航空会社が上位2位を占める結果となりました。就職先として圧倒的な人気を誇る航空会社。その根底には、世界を股にかけるエキサイティングで華やかなイメージが強く働いていると思われます。

このように“空の仕事”に対する憧れは昔から変わりませんが、“航空会社に就職すれば一生安泰”という神話は、2010年1月にJALが経営破綻したことによりに崩れ去りました。JALは2010年2月に上場廃止となった後、2012年9月に再上場を果たしたものの、大幅なリストラによりグループ全体で約1万6000名もの人員削減をし、さらに残った社員についても給料カットを行ったことは、記憶に新しいのではないでしょうか。

JALが経営破綻したことで、2番手であったANAが業界トップに躍り出ました。今ではANAが最大手として人気を博していますが、両社の業績はどのようになっているのでしょうか。

憧れの航空業界、そのトップツーは、学生の就活人気でも1、2位を誇ります。ANAとJAL、業績や給料に違いはあるのでしょうか。