近年、設立の手軽さで人気が高まっているLLC(合同会社)。会社規模を大きくしない、数人で事業を行う場合に向いている。起業するにあたり、「株式会社」ではなく「LLC」を選択すると、どんなメリットがあるのか?

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法人化するなら株式会社だけでなく、LLC(合同会社)という選択肢も

個人事業は起業までの手軽さが魅力だが税制上はデメリットも。節税対策が取れないので、利益を出せば出すほど税金で取られることに。逆に、利益が出なければ税金は掛からないというメリットも。法人の場合は法人税の税率が一定のため、利益が出ていなくても税金の支払い義務を負う。確実に利益を出せる見通しがなければ法人化は控えたほうがよいだろう。

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株式会社・LLC(合同会社)・個人事業 3タイプの事業スタートまでの流れ

営利法人には(1)株式会社(2)合名会社(3)合資会社(4)LLC(合同会社)の4タイプがあり、株式会社の設立件数が圧倒的に多い。が、近年、設立の手軽さから人気が高まっているのがLLC。今は新設できなくなった有限会社の代わりに用意されたシステムで、会社規模を大きくしない、数人で事業を行うような場合に向いている。個人事業では節税対策が取れないが、LLCなら税制のメリットもあり、株式会社より設立や運営における手間やコストが簡略化できることが人気の秘密。信用度は株式会社に比べて低いのは否めないが、LLCから株式会社への組織変更も可能なので、個人事業やLLCから事業をスタートさせ、事業が軌道に乗り採算の見通しが立ってから株式会社へ移行する起業家も多いよう。

 
●手軽に始められる個人事業、社会的信用度が高い法人
[法人]
手続き:煩雑/費用:高い/社会保険:加入義務有り/税務申告・会計:煩雑/信用度:高い/資産調達:比較的容易/節税方法:多い
[個人事業]
手続き:届け出だけ/費用:安い/社会保険:加入義務無し/税務申告・会計:比較的簡単/信用度:低い/資産調達:比較的難しい/節税方法:少ない

●代表取締役の肩書は株式会社だけ、設立費も運営費も安いLLC
[LLC(合同会社)]
出資者の名称:社員/出資者の責任:有限責任/出資者・社員数:1人以上/最低資本金額:制限無し/意思決定最高機関:社員総会/業務執行者:業務執行社員もしくは社員全員/業務執行者の任期:任期なし/会社の代表:各社員/定款証人:不要/決算公告の義務:無し/課税:法人税/株式会社への組織変更:可
[株式会社]
出資者の名称:株主/出資者の責任:有限責任/出資者・社員数:1人以上/最低資本金額:制限無し/意思決定最高機関:株主総会/業務執行者:取締役/業務執行者の任期:通常2年、最大10年/会社の代表:各取締役/定款証人:必要/決算公告の義務:有り/課税:法人税