現場で経験を積めないもどかしさ

最初から分かっていたことではありましたが、実際周りの先輩や同期が世界中の現場を飛び回っているのを見聞きすると、遅れを取っているような思いというかどうしようもない焦りが胸に湧いてきてしまうのには困りました。

国際石油開発帝石 技術本部 大竹真由さん

エンジニアとしてまだまだ未熟な時期ですから、一つでも多くの経験を積みたいのは当然です。この仕事では机上の計算で可能だと思っても、それを現場に適用させようとすると「そんなことできる訳ないだろう」と言われることも多いんです。だから、しっかりと現場の経験を積む必要があるのですが、それを思うように積めないことが正直つらかったです。

現場に行けない代わりに、その頃の私は机上の検討では誰にも負けないようにと心がけていました。現場からのレポートは必ず隈なく読み、分からないことは同僚にしつこく教えてもらう日々でしたね。

いま、私には3人の娘がいて、長女は中学生になっています。次女を妊娠中に東京の本社勤務になったのですが、子供が小さいうちは毎日が必死でした。同じ会社に勤める夫は新潟に単身赴任していたので、仕事に野心を抱くどころではなくて……。「いま子供が熱を出したらアウトだよな」という緊張感の中でずっと働いていたように思います。

例えば、ちょっとしたミーティングでも、前日や直前にそれが設定されてしまうと、今仕掛中の仕事の締め切りに間に合わない。「夜に仕事を回せばいい」という選択肢がなく、常に時間に追われているあの感覚は、当人でないとわからない感覚だと思います。