意外な花形事業と負け犬事業

東芝は2014年3月期に2907億円の連結営業利益を計上していました。第三者委員会報告書によればその期に過大に計上されていた利益は54億円ですが、営業利益全体に及ぼす影響が低いことから、ここでは無視することにします。

売上に関しては電力・社会インフラが最も多かったのですが、利益に関しては電子デバイスが2384億円と最も多く、実に全体利益の82%を占めています。次に多いのはコミュニケーション・ソリューションで、営業利益519億円ということで全体利益の18%を占めているのですが、電子デバイスに比べればはるかに少ないです。そして電力・社会インフラとヘルスケアに関しては営業利益がそれぞれ322億円と286億円で、ライフスタイルとその他にいたっては、それぞれ510億円と86億円の営業損失を計上しています。

事業ごとの営業利益及び営業利益率をグラフに示すと次のようになります。

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事業別利益及び利益率(グラフは編集部にて作図)

利益率も電子デバイスが最も高い14%を記録し、他の事業よりもずば抜けて高い結果となりました。これには高利益率のメモリの販売数量が大幅に増加したことが関係しているようです。この傾向は翌期でも続き、2015年3月期の第3四半期にかかる四半期報告書を見ても電子デバイスは1777億円と最も高い営業利益を計上しており、利益率14%近くを維持しています。

これに対し売上の最も多い電力・社会インフラは利益率が比較的低く、2%弱に止まっています。ただそれ以前の3期を見れば継続的に5%以上の利益率を出していることが読み取れます。

一方、家電がメインのライフスタイルでは損失幅が最も多いことが分かります。しかも過去の業績を見ると3年連続して400億円以上の営業損失を計上しており、売上も減少傾向にあることから、東芝は家電業界で相当な苦戦を強いられていることがうかがえます。

以上から、近年の東芝にとっての花形事業は半導体事業であり、逆に全体の足を引っ張っている負け犬事業はライフスタイル事業だということが言えます。東芝は家電ではなく、半導体によって支えられていたのです。