この本では、各料理研究家の比較に、それぞれが作るビーフシチューのレシピが出てきます。料理をしたことがある人ならば、一度はビーフシチューを作ったことがあるでしょう。同じメニューのレシピを比べてみることで、それぞれの料理の特徴がより分かる構成となっています。因みに小林カツ代のビーフシチューでは、缶詰のドミグラスソースを使用します。

母親世代に絶大な人気を誇るのは、栗原はるみでしょうか。もちろん、若い世代にもハルラーはたくさん存在しますが、料理のテクニックに苦労などしないであろう、母親たちになぜはるみさんは支持されるのでしょうか。それは、長年台所に立ち続けている経験から、ふと試してみた「工夫」の数々を基にしたレシピが多いことにありました。切り方や調味料の使い方をちょっとだけアレンジし、皆が気付いていなかったおいしいメニューを提案されています。毎日、料理をしている人にこそ響く、レシピの数々なのです。

料理研究家たちのスタンス、レシピに対する思いなどを想像しながら読んでいたら、久しぶりに、無性に料理がしたくなりました。

新潟出身の母に教わったことのあった、のっぺ(のっぺ汁)を作ってみました。
レシピのポイントは、里芋やニンジン、こんにゃくの下茹でと、しいたけや白かまぼこなど、だしの出る材料を先に煮ることです。ベースとなる鰹節のだしが薄くなってしまったので、気を取り直して、調味料を足して完成させました。

若干いまいちの出来でしたが、おいしく食べることができました。レシピ本や料理番組を観ているばかりの毎日ですが、料理って楽しいものだったな、と思える瞬間でした。