大事を成して、30歳前後で死んだ松陰・龍馬

松陰と同時代を生きた坂本龍馬も31歳という若さで暗殺により、この世を去っています。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』は愛読しましたし、実は龍馬ゆかりの土地を巡る旅行ガイドを作ったことがあるので、そこそこ詳しいのですが、後半生は移動の連続です。

土佐から江戸へ剣術修業に出たり、土佐藩を脱藩して長州に行ったり、薩長同盟を結んだり自身の海援隊の活動のために、京都、薩摩、長崎、山口などを激しく行き来しています。

享年29の吉田松陰

当時の移動手段は徒歩か船。移動には大変な時間や労力がかかりました。しかし、龍馬は外圧に屈せず、新たな日本を作ろうという思いに突き動かされるように時間や労を惜しまず東奔西走したわけです。

最後は暗殺という無念の死を遂げますが、31年間という短い人生で時代の流れを変える働きをした。それを思うと改めて龍馬をはじめ、不便な時代に大事を成した人たちのすごさを思い知らされます。

こんな風に享年の一覧表を見ると、色々な男たちの人生に思いを巡らせることができました。そうした楽しみを見つけ出すと「自分の年齢や人生と照らし合わせる」なんてことは考えなくなりました。そもそも彼らと自分は、持って生まれた資質も違うし、生きた時代も違う。その人にしか送れない人生を生きたわけで、比較なんかできないわけです。

また、私の目からは偉業を成し遂げた、あるいは自分の人生を見事に生ききった人に見えても、本人は達成感や充実感を味わっていたわけではないかもしれません。

自分が生まれた時代や環境、運や巡り合わせのなかで、与えられた資質を生かしてできることをしていたら、何事かを成すという結果がついてきたのだと思います。

そう考えると「自分と比較して刺激にしよう」なんてことはどうでもよくなり、「何かを成さなければ」などという力みも消えました。ということで、それまで通りの平凡な日々を重ねてきたわけです。