2015年7月14日(火)

10年後に生き残るベンチャー、消えるベンチャー

PRESIDENT 2014年1月13日号

著者
榊原 健太郎 さかきばら・けんたろう
サムライインキュベートCEO

榊原 健太郎1974年、愛知県生まれ。97年関西大学卒業、日本光電工業入社。アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)ほかを経て2008年サムライインキュベート設立。約60社のベンチャーの社外取締役兼務。

サムライインキュベートCEO 榊原健太郎 構成=山田清機 撮影=永井浩
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起業家を支援するサムライインキュベートという会社を立ち上げて、すでに7年がたちました。

この間にIT系ベンチャーを支援するエコシステム(共存共栄の仕組み)はある程度できてきたので、これからはモノづくり系ベンチャーを支援するエコシステムづくりと、支援システムがまったくない地方の支援に力を入れたいと思っていますが、わが社は支援を決定する際に、ある基準を設けています。それは起業家の持っているアイデアが、わが社が常時100個温めているアイデアに、ほんの少しでもいいから引っかかることです。

わが社は年間250本のイベントを打ち、僕個人は国内外合わせて年間2万人の方々に会っています。100のアイデアとは、そうやって出会った様々な国籍、職業、年齢、性別の人から実際に聞いた悩みです。本物の悩みを解決できるソリューションを持った起業家をピックアップして、僕らは支援をしているのです。

悩みの解決はビジネスアイデアを発想する際の基本であり、その悩みを解決することで世の中が大きく変わることが読めれば、そのビジネスは必ず成功します。

たとえば、介護福祉士の方の悩みは給与が安いわりに仕事がきついことだと聞きました。そこで、この悩みを解決する介護支援ロボットを開発したabaという会社を、わが社は支援することにしたのです。

ベッドの下のセンサーが排泄物を感知すると介護士さんにアラートを伝えるシステムですが、介護士さんは排泄の状況を何度も確認しにいく必要がなくなり、介護される方も何度も体を見られずに済む。さらに、排泄リズムのデータを取ることで投薬の効果を確認することも可能になります。

abaはすでに大手の介護ベッドメーカーと共同開発を始めていますが、悩みを解決できるということはニーズに直結しているということにほかならないのです。逆に言えば、何の悩みも解決できないベンチャーは、いずれ消えていく運命にあります。今流行っているサービスの応用版だったり、将来の世の中にとって本質的に必要でないベンチャーは生き残ることはできません。

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