平均給与は406万円と過去最大の下げ幅を記録。不況の波が正社員に及んだことが原因の1つだ。業界・役職・学歴別に給与の最新事情を働く人の生の声とともに紹介する。
男女別の平均給与格差/男女別の賃金カーブ
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男女別の平均給与格差/男女別の賃金カーブ

金融広報中央委員会の調べによると、2割強の家庭が「家計に一銭の蓄えもない」と答えている。これは97年の倍以上の数字なのだが、実は03年以降2割超えの大台はずっと横ばいで続いている。老後のために、あるいはいざというときのために貯蓄はしようと誰しもが考えるのだが、窮境にいるとその実行は難しい。年収が低い家庭ほど貯蓄ゼロ世帯比率が高いのはいうまでもない。

ちなみに、預金があると答えた金融資産保有世帯のうち、平均値は1169万円になる。もっとも平均値は少数の高額資産保有世帯によって大きく引き上げられるので、多くの世帯が実感とはかけ離れた印象を持つことになる。そこでより実感に近い数字を中央値と呼んで表すのだが、その中央値は820万円となっている。

来春の春闘で、連合は派遣やパートなど非正規雇用労働者の賃金について、正社員以上の引き上げ幅を求めていく方針を決定した。いうまでもなく、正社員と非正規労働者の賃金格差を埋めるのが狙いだ。

年齢別に年収を見ると正社員の場合、50~54歳で625万円に達しピークを迎えるが、非正規労働者だとピークが60~64歳の313万円となる。パートだとさらに下がって128万円(60~64歳)。非正規労働者は60歳を過ぎて初めて300万円を超えるのだが、これが正社員だと20代ですぐ突破する金額となっている。雇用形態で収入が大きく異なることをよく表した数字といえそうだ。

連合では「非正規共闘会議」(仮称)なる組織を立ち上げて、雇用形態での格差是正に本気で取り組むという。壁は高いのだが、なかには中外製薬のように、契約社員から正社員への転換制度を導入する企業もある。この10月に同社が発表したもので、原則3年以上勤務している契約社員が対象となる。

都道府県別平均給与格差
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都道府県別平均給与格差

「269円から197円、そして今は176円ですよ」

と自嘲気味に話すのは、7年前に脱サラをして宅配の運送業に就いている愛知県の内藤肇さん(39歳)だ。晩酌がビール→発泡酒→第三のビールへと変化していったというのだ。

「中部圏では、景気が上向いていると感じる人はほとんどいないのではないですか。少なくとも私の周りの人間は、皆ギリギリのラインで生計を立てているのが実情です。私の年収は今350万円弱ですが、7年前の転職時より100万円近く減ってしまいました。できることならまた転職して『安心できる会社』に入りたいのですが……」

「安心できる会社」は果たしてどこにあるのだろうか。

もしそこに在籍していたとしても、日々が勝負の繰り返しといった緊迫感ある毎日に変わりないご時勢は、まだまだ続きそうだ。(登場人物はすべて仮名)

※すべて雑誌掲載当時