英語の早期教育への関心が高まっている。小学校での英語が3年生まで引き下げられることが背景にあるが、悩ましいのは英語学習を始める時期と進め方。子供の英語教育に詳しい玉川大学大学院の佐藤久美子教授に、押さえておきたい3つのポイントをうかがった。

周知のとおり、2011年度より「外国語活動」として小学5、6年で必須化された英語学習。それが3、4年からの実施に早められ、5、6年の外国語活動は「英語」として正式教科に格上げされることがほぼ確定した。2020年度より実施される予定だ。

3、4年の外国語活動は週1回程度で、歌やゲームなどで英語に親しむ内容。5、6年の英語は、週3回の実施が想定されており、基本的な英語の読み書きなど、中学校の学習内容の一部も加わる見込みだ。

小学校での外国語活動の導入が、乳幼児期からの英語学習への関心を高めたが、今後はその傾向にさらに拍車がかかりそうだ。

しかし、子供の言語獲得を研究し、その成果に基づく英語教育を提案している佐藤久美子先生によれば、英語学習はやみくもに早く始めればよいというものではないらしい。また、幼児期の日本語の発達と、英語の獲得は相関するともいう。子供の英語学習、その留意点とは何だろう。

ポイント1

5歳までには
何らかの英語体験を

英語はいつから始めたらよいか。

「この時期が最適というものはない。その子がやってみたいと思ったときが、始めどきです」と佐藤先生。

「英語に限らず、言語は自分が思うことを人に伝えたいという意思があって、初めて獲得されていくものだからです」。それは、幼児でも小学生以降の年代でも同じだという。

ただ、異質な言語でもそれを「音」として聞き、取り入れられやすい時期がある。それは「5歳までの幼児期」だ。

佐藤先生は、3歳から5歳の保育園児200名を対象に「音の獲得」に関する調査を行っている。

子供は英語の絵本も大好きだ。読み聞かせは、親子で楽しみながら英語に親しむことができる。

日本語と英語それぞれで、初めて聞く20の単語をまねてもらう。さらに子供たちを4グループに分け、3グループにはそれぞれ同じ歌詞からなる歌、チャンツ、読み聞かせのCDを毎日聞かせる。残りの1グループは何もしない。そして3週間後に音の獲得度合いを見るという調査だ。

「そこからわかったのは日本語か英語かにかかわらず、5歳までは初めて耳にする音でも、聞きとめやすく、聞いた言葉そのままの音を反復できるということです」

すなわち、5歳までの子供は「音まね」上手。「この時期から正しい発音の英語に触れさせておくことは、良い言語体験になる」と佐藤先生。この年代の子供では「英語を学ぶ」というより、おもしろがって「音の反復あそび」をするくらいだが、それでも英語を「聞く」「話す」の素地は育っていくという。