Skypeを利用して、自宅に居ながら低コストで英会話が学べるオンライン英会話。爆発的に会員数を伸ばしているDMM英会話・英会話事業部長の上澤貴生氏と東進ハイスクールの人気講師・安河内哲也先生に、英会話コミュニケーション力上達の秘訣をテーマに話していただいた。

英語の話者の50%が
ノンネイティブスピーカー

上澤貴生●うえさわ・たかお
DMM英会話事業部長 兼 BIbo Global Opportunity, inc. CEO。同志社大学卒。大学卒業と同時に起業。シンガポール、台湾、フィリピンでスタートアップを経験。現在はフィリピン、日本、東欧など各国を往来する日々。

【上澤】DMMがオンライン英会話をスタートさせて2年になります。このサービスのいいところは月3000円~5000円程度で毎日、英語が話せるところ。日本に住んでいると、日常で英語を話す機会はほとんどありませんから。とにかくたくさん話せる、というのがいいところだと思っています。

【安河内】オンライン英会話はおすすめだし、私も利用しています。特にノンネイティブの人と話すのがいいんですよ。日本人は、英語というとアメリカやイギリスといったオーセンティックな英語でなければならない、という思い込みがあるんですが、じつはその考えは少し時代遅れ。いまや、英語の話者の50%以上がノンネイティブスピーカーで、国際会議でもノンネイティブが半分以上というのが実態なんです。

【上澤】DMMの講師は約60カ国と幅広く、いろんな国の人と、いろんな英語を話せるというのが、大きなメリットだと思っています。基盤はフィリピンですが、そのメリットは何より低価格で英会話サービスを提供できること。もちろん、アメリカやイギリスなどのネイティブスピーカーもいますし、最近は東欧やアフリカの講師も多く、彼らもとてもきれいな英語を話します。それにヨーロッパの講師の方は、旅行経験なども多くて話題が豊富です。また、海外出張に行くことになったときにその国の講師を選ぶなど、ピンポイントで学習できるのも強みです。いろんな国の方と話すのは、勉強のモチベーション維持にも役立ちます。

目標設定は低く
大切なのはpractice

安河内哲也●やすこうち・てつや
東進ハイスクール英語講師。数多くの大学受験生を合格へと導いてきたカリスマ人気講師。TOEICテスト990点(満点)、英検1級、国連英検特A級、通訳案内士の資格を持つ。『英語長文速読トレーニング』(旺文社)など著書多数。

【安河内】日本人が英語を話せないひとつの原因が、ネイティブ幻想というか、ネイティブ絶対主義をもっていることです。例えば、宇多田ヒカルさんとか関根麻里さんの英語を目指して勉強しても、彼らはアメリカ育ちなんだから、絶対不可能なんです。その結果、失望感や自信喪失につながって、英語を話せないことになる。さらに日本人は、本で英会話を勉強しようとする傾向があって、「こう言ったら、ネイティブに笑われる」とか「ネイティブはこんな英語使わない」と書いてあるから、いざしゃべろうとすると出てこないんです。しかしながら、世界に出てみていただきたい。例えばヨーロッパの人々や中国のトップビジネスパーソンなんか、ネイティブに怒られる英語が満載なんです(笑)。三単現の「s」なんて、ついてない(笑)。まずはそういう間違いを許容して、間違いながら直すというところから入っていくことが、非常に重要だと思うんですね。

もちろん、リスニングやリーディングなど知識ベースの勉強はオーセンティックアメリカンとか、オーセンティックブリティッシュでちゃんとやる必要がある。でも、アウトプットはノンネイティブで構わないんです。

【上澤】おっしゃるとおりですね。私も学生のときは英語は苦手でした。でも海外で仕事をしていくうちに、自然と英語を覚えていったのですが、例えば、シンガポールの人たちの英語は文法もめちゃくちゃで時制の一致もないんですよ。それでも、彼らは自信満々にしゃべっていて、最初はすごいカルチャーショックでしたね。

【安河内】私も、フィリピン人と会話をしたとき、英会話のレベルが私と同等か少し低いくらいのレベルだったので「What is your first language?」と聞いたことがあるんです。そうしたら「My first language is English.」って堂々と言うんですよ(笑)。それで、「第一言語で話している人でも、このくらいがマックスなんだ、日本人はレベル設定が高すぎる」ってわかったんです。皆さんがレベル設定をするなら、安倍総理とか猪瀬直樹さん、三木谷浩史さんの英語がいちばんいいですね。

【上澤】なるほど、日本人は完璧主義なんですね。

【安河内】英語に関しては、「間違ったら腹を切る」というサムライ精神をもっていたら、一生話せるようにならない。本を読んで、完璧な英語がしゃべれるように準備して、できるようになったら披露しようと思いながら、死んでいく(笑)。人生は短いですから、それでは無理です。使って、使って、使いながら覚えていくしかない!! 大切なのはpractice。試してみて笑われたり、怒られたり、間違いから学ぶ以外に会話を習得する方法はないですね。

【上澤】英会話ってスポーツと似たところがあって、サッカーだって本を読んでいるだけでは決して上手くならない。実際にたくさんプレーしないと上手くはならないですよね。だから英語も本で学ぶだけでなく、とにかくたくさん英語を使って話してほしいんです。英会話の上達には、たくさん英会話をすること以外ありませんから。