ネット出願と近大マグロで人気化!?

今年の一般入試の志願者数ランキングには大異変が起こった。志願者数ランキングを見ていただければわかるが、初めて関西にある近畿大が、4年連続トップだった明治大を抜いて1位になったのだ。トップの近畿大は10万5890人、2位の明治大は10万5512人で、その差はわずか378人の僅差だった。それだけではない、2位明治大と明治大に抜かれるまで11年連続トップだった3位早稲田大の差もわずか88人で、トップから3位まで466人の大接戦だった。

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「志願者数ランキング」
私立大と一部の国公立大は大学公表のデータ。合格者数を公表していない国公立大については高校発表のデータを使用、大学通信とサンデー毎日の共同調査。(協力/大学通信)

近畿大は2012年に8位だったが、翌13年、志願者が1万8684人も激増して3位。今年はさらに7462人増えて1位になった。この志願者増の背景にはいくつかの理由がある。そのひとつは13年から始めたネット出願だ。従来の出願方法は、書類に必要な事項を書き込み大学に郵送する方式だ。今も多くの大学が実施している。それをネットで出願できるようにし、その上、ネット出願で1出願当たり3000円割引を行った。これにより出願者の約7割がネット出願に替わり、13年は志願者が激増。今年から紙での出願を一切なくし、すべてネット出願に切り替え人気を集めたのだ。

近畿大の躍進の理由はこれだけではない。近年、研究成果の評価も高い。その象徴的なものがクロマグロの養殖に成功し、オープンキャンパスなどで試食会を開くなど、研究成果を身近に感じられるようにしたことだ。今年、大阪と東京で「近大水産研究所」という名前のレストランをオープンしたことも一役買った。クロマグロをはじめ、近畿大が養殖する多くの魚と農学部のある和歌山の野菜などを出すレストランで大変な人気店だ。他大学ではまったく見られない活動も、志願者増に大きく貢献した。地元の高校の進路指導教諭は「受験料の値下げに加えて、研究成果が見える化されたことで、生徒の関心がますます高まりました」と話す。

この他、女子学生の増加も大きい。今年の女子学生の比率は約3割にも伸びてきている。総合社会、建築など、女子に比較的人気の学部を新設してきたこともプラスに働いている。2016年には、今人気の国際系学部の新設を計画中で、女子に人気になりそうだ。