おせちや板わさよりも身近な食品にするには

<strong>野口智雄</strong>●早稲田大学大学院社会科学研究科教授。1984年、一橋大学大学院博士課程単位修得。94年から現職。昨年3月まで2年間、客員研究員としてスタンフォード大学経済学部で研究を行う。主著に『マーケティングの先端知識』(日本経済新聞社)。
野口智雄●早稲田大学大学院社会科学研究科教授。1984年、一橋大学大学院博士課程単位修得。94年から現職。昨年3月まで2年間、客員研究員としてスタンフォード大学経済学部で研究を行う。主著に『マーケティングの先端知識』(日本経済新聞社)。

「伝統製品を復活させるためのマーケティングはどうあるべきか?」。この困難かつ魅力的なテーマを掲げ、早稲田大学野口智雄ゼミナールでは鈴廣かまぼこ様の全面的なご協力の下研究に励んでいる。対象は板わさでお馴染みの「板かまぼこ」。慶事や進物で利用される同品だが、普段さほど食する機会がない。事実、かまぼこの需要は趨勢的に下落傾向にある。それを再び上昇気流に乗せるために3つのグループが各様のアイデアを出してみた。

◎製品コンセプトを「間食」に変えたら

かまぼこの弱みは「正月しか食べない印象があること」。逆に強みはあまり知られていないが「納豆以上に必須アミノ酸などの栄養価が高いこと」だ。この強みを生かし、日常生活の中にかまぼこが入るニッチはないかと考えてたどり着いたのが「間食」である。これによりお菓子などでは摂れない天然の必須アミノ酸をバランスよく摂取することができる。「新習慣+かまぼこの新イメージ」を浸透させることにより若い女性(20~30代)を中心に人気が出る可能性がある。

浸透のためのプロモーション案としては、口コミ効果を狙ってモデルを起用したブログ・マーケティングを展開し、「必須アミノ酸の摂取による健康的な間食」を浸透させたらどうかと考える。

◎ブームに乗ってみたら

世の大不況も影響して「お弁当」がブームになっている。この時流に乗り、手作りのお弁当の「ぬくもり」や「コスト節約」を喚起し、その具材として日常的に消費を高めることはできないだろうか。

加工食品であるかまぼこはお弁当の具材に適しているうえ、調理要らずの簡便性が魅力。また栄養面からもお弁当のおかずとして絶好である。調査の結果、20代の女性は8割が食事を作ることがあるという。この事実からターゲットは「少なからず調理に興味があり、美容・健康に留意している20代女性」とする。プロモーション案としては大学近辺のスーパーマーケットなど、彼女らが足を運ぶ小売店に「お弁当を作ろうキャンペーン」のコーナーを設置し、多様な調理を施した「具材」として品揃えしてみてはどうか。