地域におけるエネルギー利用の最適化を実現する「スマートコミュニティ」。辞書的に説明すれば、「電力や熱エネルギーを面的に有効活用し、さらには交通システムをはじめとする社会インフラ、社会システムを統合的にコントロールする概念」ということになる。東日本大震災後は、安定的なエネルギー供給、災害に強いエネルギーシステムを望む観点からも期待を集めてきたが、ここにきてその注目度は一段とアップ。各種メディアで取り上げられる機会も増加している。

その理由の一つに、今年に入り、スマートコミュニティの具体的な成果などが報告され始めていることがある。実は、日本でスマートコミュニティに向けた動きが本格化したのは2010年。震災の1年前だ。まず、この年の4月にはNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)を事務局とした官民連携組織「スマートコミュニテイ・アライアンス」が設立された。個別企業では難しい課題に対応すべく、民間企業の連携を目指したこの組織は設立後着実に成長し、現在の会員数は350社超(2013年9月11日)。メーカー、情報通信、建設、エネルギーほか、さまざまな業種の主要企業が名を連ねており、この分野への期待がはっきりと見て取れる。

また、同じ2010年には経済産業省による「次世代エネルギー・社会システム実証事業」もスタートしている。これは、産業、住民、自治体などが一体となって取り組みに参加し、実際の「地域」でスマートコミュニティの実現を目指した実証試験を行うもの。全国からの提案応募に基づき4地域(横浜市、豊田市、京都府[けいはんな学研都市]、北九州市)が選ばれ、具体的な取り組みが推進されている。今年になってこの実証事業の成果が報告され始めているのである。