この数年で東大生のコンサル業界への人気が急上昇
かつて東大生の卒業後の進路といえば、官僚やメガバンク、総合商社などをはじめとする大企業への就職が主流でした。しかし、ここ7、8年でその進路に変化が起きています。近年、東大生が最も注目を寄せる業界――それはコンサルティング業界です。
東京大学新聞が毎年発表している「就職人数順ランキング(学部生)」によると、2013年のTop20にあるコンサルティングファームはマッキンゼー1社のみでした。
これが、2021年になると、Top20にデロイトトーマツやアクセンチュアなど6社がランクインし、コンサルティングファームの台頭が感じられる結果となっています。
もちろんランキングの結果は経済環境や企業の経営状況によって変化します。しかし、特定の企業だけがランクインしているのではなく、同一業界で複数社が上位にランクインしていることは見過ごせない変化です。
東大生が就職先を選ぶ3つの観点
2017年に私が東京大学で行った「キャリア・マーケットデザイン」の授業では、出席する約300人の学生に毎授業でアンケートを実施し、最終課題として自身のキャリアビジョンとその戦略に関するレポートを課しました。
これらの数多くのやり取りから、昨今の東大生はキャリア選択の際に3つの観点を重視していることが浮き彫りになりました。
①社会的インパクトとやりがいのある仕事
東京大学は、もともと国家公務員志望の学生が多いということに象徴されるように、公的な社会貢献意欲が強い学生が多数います。そのため、自分が関心を持つ領域で、社会的意義のある仕事を望む傾向があります。
このような考えを持っているため、当然自身が取り組むことになる仕事内容を重視して就職先や転職先を選定することになります。
さらに、「配属リスク」という考え方が学生たちの間に広がっています。もちろん日本を代表するような大企業であれば、社会的意義の大きな事業も行っており、その点については大変魅力的と言えるでしょう。
しかし、入社した後、実際に関心を持つ事業に関わることができるか否かは不透明です。そのため、学生からすると、何の仕事をするかわからない総合職採用はリスクが高いと認識され、敬遠される対象になっているのです。