松本氏らが辞職すると「4・25」に6補選
今回、クラブに出入りした3人が離党にとどまったことについては、議員辞職した遠山氏との対比も含めて厳しい批判にさらされている。「1人で行った」とウソの説明をしていた松本氏に対しての風当たりは、特に強い。だが、自民党内には、3人を議員辞職させられない事情もあるのだ。
もし3人が議員辞職したらどうなるか。松本氏は衆院神奈川1区、田野瀬氏は奈良3区、大塚氏は大阪8区選出の衆院議員だ。今辞職すれば4月25日に補欠選挙が行われる。
同日には吉川氏の辞任に伴う衆院北海道2区、立憲民主党の羽田雄一郎氏の死去に伴う参院長野選挙区の補選が行われることが確定。さらに案里氏の辞職で参院広島選挙区補選が加わる。
北海道と広島の補選は、自民党議員のスキャンダルが端緒だけに同党にとっては逆風の選挙だ。北海道2区では自民党は候補を擁立せずに不戦敗の道を選ぶ見通し。長野は、羽田氏の弔い合戦の構図。羽田氏の弟・次郎氏の出馬が固まっている。兄弟の父・孜元首相が築いた王国を自民党が崩すのは容易ではない。自民党内では「今の逆風が続けば(不戦敗も含めて)最悪3戦全敗の可能性もある」と危機感をあらわにする。
さらに松本氏ら3人が辞任するようなことになれば、衆参6つの選挙区で補選が行われることになる。3氏はそれぞれ地元に根を張った政治家だが、逆風の中での選挙となる。
野党から不祥事が出れば攻守は一気に逆転か
3氏が「みそぎの選挙」に臨むことになれば、国民もメディアを通じて「クラブ活動」を思い出す。逆風は全国に伝播し、結果次第では菅氏の責任論が浮上しかねない。それは自民党にとって最悪のシナリオだ。だから議員辞職してほしくない。つまり、松本氏らが離党しないのは自民党側の事情でもあるのだ。
このように書くと、野党側に追い風が吹いているようにみえる。しかし、数日たつと状況は一変するかもしれない。
永田町では今、「野党議員が夜に飲食に興じている写真を週刊誌が入手した」といった未確認情報が飛び交っている。もしこれが事実なら、批判の矛先は自民党一辺倒から「オール永田町」に変わる。今、野党側は松本氏らを徹底的に批判しているだけに、その反動も大きくなる。SNSでの野党批判も高まるだろう。いわゆる「ブーメラン現象」だ。4月下旬、補選の投票日の頃には、野党側の方に強い逆風が吹いている可能性が十分あることも指摘しておこう。