VOL.3
レジリエントな世界を描く
NECのDXコンサルティング
Sponsored by NEC
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KEY PERSONS
  • 戸田 雅仁 ( とだ まさひと )

    NEC Corporation

    DX戦略コンサルティング事業部
    エグゼクティブ コンサルタント リード

    大手銀行に入行後、システム部門で勘定系や情報系、営業店システムなどの大規模SI案件のエンジニア及びプロジェクトマネジャを経験。大手ソフトウエア会社にて、国内外の大手金融機関向けを中心としたITコンサルタント業務に従事。コンサルティングファームにて、システムリスク管理や組織・人材含めたDX推進支援を経験。NECでは組織・人材デジタル変革チームをリード。

「適所適材」の人材配置とコンピテンシーの強化がDXを前進させる
  • Q
    いわゆる「デジタル人材」の育成計画は、どのように立案すべきでしょうか。
    A
    まずは、必要となる人材像を定義すべきです。そのためには「企業として何を目指すのか、何を為したいのか」を事業目標や経営戦略として明確にしなければなりません。今日においては、企業経営や事業変革そのものがデジタルトランスフォーメーション、すなわちDXといっても過言ではないでしょう。そして、それを達成するために必要なデジタル人材戦略を設計し、必要となる人材の役割、キャリア要件を明文化する必要があります。そのうえで必要なスキルを定義するとともに、継続的なスキルアップとキャリア形成の仕組みを用意し、人材を育成していくのです。

    NECでは、まず役割やポジションを定義し、そこにマッチする人を充てる「適所適材」の考え方に基づいたJOB型人事で人材を配置し、タレントマネジメントを行っています。

    私たちに相談を寄せてくださるお客様のなかには、そもそもどのような人材を求めているのかが不明確だったり、デジタル人材、DX人材に関する曖昧なイメージを元に社内人材から発掘、育成しようと試みたり、また「AIエンジニア」や「データアナリスト」といった職種を起点に、デジタル人材の活用計画なしに採用・育成を始めてしまう状況が散見されます。

    その企業が目指す方向性に沿って必要な役割を定義しなければ、そもそも現有の人材を当てはめることができるのか、あるいは育成や採用が必要なのかもわかりません。そのため今のうちから、社内人材の能力の棚卸、人材データの見える化・デジタル化を図り、自社にどのような人材がいるのか、人材のデータベースを整備すべきです。また、こうした取り組みの中で、企業が目指す方向性に対して、スキルのアンマッチが起きやすく、透明性が高く公正公平な評価制度を実現することが難しくなります。その結果、従業員のモチベーションが下がり、せっかく採用・育成し熟練した人材が流出するリスクが高まります。
  • Q
    デジタルシフトが加速する現在、求められる人材像はどう変化しているのでしょうか。
    A
    「デジタル人材=ICTスキル」だと考えられがちです。たしかに、技術に秀でたスペシャリストは必要ですが、それだけでは不十分です。ビジネスとテクノロジーを結合してデザインする力を持つとともに、顧客やスペシャリストといったステークホルダーを結合して指揮できる、オーガナイザー人材が非常に重要です

    必要なスキルは定義しづらいのですが、主体性を持っていて、既成概念やしがらみにとらわれない突破力があり、周りを調和させて巻き込む力。いわゆる「コンピテンシー」を強化することが、優秀なデジタル人材を育てるには必要でしょう。
「データドリブン人事」で公正公平な評価制度の実現を
  • Q
    リスキリング(再教育)やキャリア形成のためには、何が重要でしょうか。
    A
    「キャリアは与えられるものではなく、自身で設計するものである」というマインド変革です。この変革は従業員任せにするのではなく、企業として後押しすることが欠かせません。

    そのためには、企業は従業員に学習の機会を与えることが重要です。たとえば、新たな戦略を実行する際に、従業員の能力やスキルをそれに合致するよう再教育(=リスキリング)する必要が発生します。

    NECが実施した施策の1つに、5つの「Code of Values(行動基準)」の制定があり、人事評価では、これを体現できているかを見ています。この基準にある「組織はオープン、全員が成長できるように」は、みずから学ぼう、成長しようとする背中を押すものです。制度面でも、直属の上司に伺いを立てることなく異動を申請できるようになっており、新しいキャリアにチャレンジしたい従業員が積極的に活用しています。

    また、「Code of Values」には「視線は外向き、未来を見通すように」があります。いたって当たり前の言葉だと思われるかもしれませんが、掲げるだけの存在ではなく、従業員一人ひとりに浸透してきたからこそ、DXに対応できる組織に変わりつつあるのだと感じています。
  • Q
    JOB型人事制度を導入する場合のポイントについて教えてください。
    A
    評価対象となる仕事や成果を可視化することです。公正公平な評価制度でなければ、せっかく育成した人材の流出リスクが高まります。

    特に最近はコロナ禍によるリモートワークによって、評価が難しくなっています。以前は上司が直接職場で部下の働きぶりを見て評価できていましたが、リモートワークが進んだことで、それが困難になりました。デジタルツールによる業務のデジタル化、見える化により、データに裏付けされた成果の評価が可能となります。

    さらに、何をしたら評価されるのかを、わかりやすい基準を用いて期初に合意しておくことが重要です。そのためには、可能な範囲でアウトプットの標準化や、生産性の定量化ができることが望ましいです。

    「データドリブン経営」を志向する企業が増えていますが、事業環境や実績の分析にとどまらず、各個人の業績評価についてもデータに基づいて実施する「データドリブン人事」の仕掛けも導入すべきではないでしょうか。そのための支援サービスも準備中です。

    加えて、個人の能力を活かせるよう、複業や自由な場所での勤務など、働き方の選択肢を複数提供することも重要でしょう。
NECが描くデジタルトランスフォーメーション
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自社の変革で得た知見をコンサルティングに活かす
NECは2018年、強い危機感を背景に「実行力の改革」のための社内変革プロジェクト「Project RISE」を開始しました。人事制度、働き方、そしてコミュニケーションを三位一体で改革することによって、従業員一人ひとりのパフォーマンスを最大化する取り組みです。

NECでは、自身の変革を通じて得たノウハウをベースに、コンサルティングサービスを提供しています。具体的には、NECが導入しているDX人材変革のためのフレームワークをベースに、お客様の現状アセスメントを行い、必要な対策を「組織設計・要員計画」「スキル定義」「目標管理」「要員配置計画」といった領域ごとに導き出し、お客様の環境に導入・定着させるサービスです。

「Project RISEは、NECの変革実現に向けて効果を発揮している取り組みだと自己評価しています。特に人事制度改革や人材育成の議論は、思い思いの理想を寄せ合ったのでは、なかなか前進しません。歴史ある日本企業で、グループ11万人のNECが実践してきた改革です。私たちの経験をベースラインとし、何が十分で何が不十分であるかを分析することで、短期間でリアリティのある仕組みや運用方法の設計を支援できると考えています」(戸田氏)
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