基本的には本人や家族しか立ち入ることのない、家の中でも特にプライベートな空間のひとつである風呂場。お片づけ習慣化コンサルタントの西崎彩智さんは「お風呂場を見れば、その家がお金の貯まる家か貯まらない家かわかる。浪費家の人は、新しいもの好きなところがあるが、その衝動買いの結果が風呂場の随所に見られる」という――。
バススポンジにシャワージェルを注ぐ女性
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お金の貯まらない家にはあるもの

お風呂場を一目見れば、その家が「お金の貯まる家」か「貯まらない家」かわかります。

お金の貯まらない家のお風呂場は、とにかく物が多い。中でも特徴的なのは、使いかけや、もう空のボトルで溢れている点です。使いかけのシャンプーやリンス、ボディソープ、使っていなさそうなお風呂の洗剤など……。そのうえで、あきらかにすべては使用していない掃除グッズや子供のおもちゃ、風呂おけなどが“必要な数以上”置かれているのです。

浪費家の人は、基本的に新しいもの好きなところがあります。

店頭やCMで新しいものを目にすると「安いし、ちょっと使ってみようかな」と、新しいものを次々と購入。まだ使いかけのものがあるのに、です。そして、お風呂場にボトルがたくさん並んでいきます。そういう浪費癖は、クローゼットなどわかりやすい場所だけでなく、お風呂場にもあらわれている気がします。

ディスペンサーボトル
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お金が貯まる家でも、特にシャンプーが好きで複数種類を買いそろえているような家はあります。しかし、それは「ほぼ存在を忘れられたままに使い終わらないボトル」ではなく、きちんと均等に消費されていきます。また整理整頓されており、雑多な印象は受けません。「今」使うから買っているか、「なんとなく」「いつかのために」買っているか、これがお金の貯まらない家と貯まる家の1番の違いです。

さらに特筆すべきは、お金の貯まらない家には、“洗浄力の強い洗剤”が並んでいることです。

通常のバスタブを洗う用だけでなく、浴室内のカビや鏡のウロコが取れるもの。いつか入念に掃除しようと思っているけれど、とりかかることのできないまま、置きっぱなしになっています。

そう、お金の貯まらない家のお風呂場は物がたくさんあるだけでなく、壁にカビが生えていたり、蛇口に水アカが溜まっていたり、鏡にウロコがついていたりと、全体的に薄汚れていることが多いのです。

「物」以外にも特徴が…

これは私自身の体験談ですが、今から12年前、私が離婚する前のことです。夫婦仲が悪く、仕事もうまくいかない。どうしても家に帰りたくない時期がありました。そのときの私のメンタル状況をあらわしていたのが「お風呂場の鏡」でした。

私のメンタルが落ちていると、お風呂場の鏡が白く曇ったり、ウロコがついたりしてくる。お風呂場の鏡なんて、お風呂場を出るときにサッと拭けば汚れが溜まらないのに、それすらする気力も湧かなかったわけです。

平日は、シャワーですませて、さっさとお風呂場を出る。それで週末に掃除しようと、ウロコをとる洗剤やシートを買ってやってみるけれど、貯め込んだ汚れは時間をかけてもなかなかとれず掃除グッズはそのままに……。お風呂掃除にかける時間とお金が無駄だと気づいたのは、しばらく経ってからのことでした。

そもそもシャワーを20分使っていると、お風呂を1回わかすよりも光熱費が高くなるという試算があります。シャワー浴が習慣の人は、お金が貯まりづらいのです。

ちょこっと掃除で生活習慣が改善し、気力も向上したワケ

お風呂場に物がたくさん置いてあると、掃除がしづらく効率が下がるため、より長い時間お風呂場にいることになります。そうすると体もだんだん冷えていく……。いやですね。

そこで私は、まず風呂場に置くものを最低限の数に絞りました。

次に、掃除グッズは風呂場の外に置くようにしました。

同時に家族を巻き込み、それぞれお風呂から上がるときは、必ず鏡と蛇口を拭くように全員で徹底したんです。そこからは、いつも鏡は曇らず、蛇口もピカピカ。

お風呂が衛生的で快適な空間になったので、ゆっくり湯船につかろうという気になり、気力も上向いてきたことを覚えています。

最初にすべきアクション

では、これからお金の貯まるお風呂場をつくりたい人は、何をすればよいのでしょうか。

はじめは、物の整理から始めましょう。キレイにするには掃除が必要ですが、掃除より先に必ず「片付け」を。片づける前に掃除をするのは非効率です。

具体的には、お風呂場で使う物の数を絞り、使っていない物は「風呂場の外」へ出します。子どものおもちゃも使っているか使っていないかで判断し、使っていないものは同じく外へ。捨てられるものは捨てましょう。

このようにアドバイスすると、「家族が多いと物がどうしても多くなるけれど、どうしたらよいでしょう?」という追加相談をよく受けます。例えば過去には、年頃の娘さんが3人いらして、それぞれにこだわりのシャンプーがあるため捨てられない、という方がいらっしゃいました。

全員がそれらを風呂場に置くと、それだけで空間が埋まってしまい、掃除もしづらくなりますよね。そこで娘さんたちには、それぞれ自分の使うアイテムをカゴに入れて、お風呂に入るときにそれを持って入るようにしてもらいました。銭湯に行くときのようにです。それで、やっとお風呂場が片づいたとおっしゃっていました。

ちなみに、わが家のお風呂場には、シャンプー、リンス、石けん、体を洗うタオル、泡立てネットの他、風呂掃除用のブラシが置いてあり、ブラシはフックに引っ掛けています。

浮かせられるものは浮かせるのが、カビ対策のひとつ。洗剤類は、すべて風呂場の外に置いています。

また、今使いかけのシャンプーや洗剤は、一本をきっちり使い切ること。次を買うのは、そのあと。よさそうだからといって、どんどん衝動買いする癖をこの機会に見直しましょう。

年に2回はアウトソースを

きれいなお風呂をキープするのに、お風呂掃除を定期的にアウトソースするのはおすすめです。

我が家では、ふだんのお風呂掃除は自分たちで行い、夏と年末の年に2回ぐらいはプロに頼んでいます。そうすることで配管に詰まった汚れや、ふだんの掃除では落としきれないカビなどを、きれいにクリーニングしてもらうのです(我が家の場合はキッチン空調の掃除と合わせて1回3万円ほど)。

かつて私は、すべてを自分一人でやっていました。お風呂場に2時間ぐらいこもり、強い洗剤を使って、あれこれ頑張ってやっていたけれど、プロほどはきれいにできないし、しかもそれをやったところで、家族からの反応は「ありがとう」で終わりなんですよね。

私は家族に「褒めて褒めて」って強要する面倒なお母さんだったから、頑張って掃除したら、家族から褒められないといやなわけです。

でも家族は、そこまで褒めてくれない。こんなに頑張っても自分のコストパフォーマンスはこれでよかったのかな、もっと自分が機嫌よくいられることにエネルギーをかけたほうがいいんじゃないかな、そんなふうに考えたんですよね。

それでプロを呼ぶようになったら、さすがプロですから、いろいろな機材を持ってきてくれて1時間ぐらいでピカピカにしてくれます。

その間、私は気持ち良く自分のやりたい仕事をできるから、もうそっちのほうが断然コストパフォーマンスがいい! やっぱり餅は餅屋です。

日ごろの掃除はもちろん、年に2回程度の大掃除も好きだったり、得意だったりする人は、無理にアウトソースする必要はありません(素晴らしい!)。

掃除が苦手だったり、私みたいに頑張ったあとにやりきれない思いを感じる人は「ひとりで頑張らなきゃ」を手離して、家族の必要経費として外部の力を借りてみてください。まるで自分の心までピカピカになったように、スッキリすることでしょう。

家族仲も良くなる

お風呂場を片づけたことで、湯ぶねにつかるようになったという人は多いです。湯ぶねにつかるのは、健康の大原則。疲れがとれて、眠りの質がよくなり、仕事のパフォーマンスがよくなると……自然と収入アップにもつながっていきます。

反対にシャワーが続くと、光熱費はかかるし、疲れもとれず、眠りの質も悪化。仕事のパフォーマンスも悪くなり、メンタルも収入も落ちていく一方です。

またお風呂を片づけたことで、夫婦や家族で一緒にお風呂に入るようになったという人も多く聞く話。会話が弾んでコミュニケーションが密になるのはもちろん、追いだきの必要もなくなるので、無駄な光熱費が省けます。

お風呂を片づけたら、家族仲がよくなり、節約になるわけです。

お風呂
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お風呂場というのは、究極のプライベート空間です。人の家に行って、トイレを借りることはあっても、お風呂を借りることってないですよね。

そんなプライベート空間をきれいに保つことは、自分自身を大事にするということ。明日からまた頑張ろうと英気を養うことにつながります。

ぜひお風呂場を片づけて、エネルギーチャージスポットにしてください! それがお金の貯まる家にも直結するのです。