貯まらない寝室は「倉庫化」している
これまで多くの家にうかがってきました。経験から、その家の寝室を見れば「お金の貯まる家」か「貯まらない家」かどうかがすぐにわかります。
お金の貯まらない家の寝室は、大抵「倉庫」になっているからです。
具体的には、ベッド周りに化粧品やペットボトル、食べ物などが規則性なくゴチャゴチャと置かれて、床に本や雑誌がぐちゃっと積まれたり、脱いだ服がグチャッと放り投げられてたりしている……といった様子です。
そのほかクローゼットもパンパンに詰まっていて、扉が閉まらない。そしてベッド下には、中に何が入っているかわからない段ボールや紙袋が押し込まれたまま、放置されている……。
またストーブや扇風機など、季節外の家電も放置されています。快適に過ごせる状態ではなく、まるで倉庫のように物が溢れているんですね。
「寝室の汚い家」にお金が貯まらない理由
では、なぜ寝室が倉庫化するのでしょうか?
それは、家の中でもいちばんのプライベートゾーンだから。来客があっても、寝室までは入りません。つまり寝室は、自分の最も内なる部分なのです。だからこそ寝室が汚れているのは、自分の内なる部分が汚れているということ。
私が受講生の方たちによく言うのが、「物の扱いは、自分に対する扱いと同じ」です。つまり物を大事にできる人は、自分を大事にできる人。そう考えると、内なる場所である寝室を丁寧に扱える人は、本当の自分を丁寧に扱える人なわけです。
自分のことを丁寧に扱う人は、健康の要である睡眠も大事にします。大リーガーの大谷翔平選手も、睡眠を大切にしていることで有名ですが、睡眠の質というのは、健康はもちろん、仕事のパフォーマンスにも影響してきます。寝室が倉庫のようにグチャグチャだと、当然なら睡眠の質はダウン。
そうなると仕事のパフォーマンスも落ちて、収入も下がっていく……、倉庫化した寝室のある家にお金が貯まらないのは、こういう理由なのです。
お金の貯まらない寝室に大抵あるもの
受講生の方たちに「よく眠れる部屋ってどんな部屋?」と聞くと皆、口をそろえて言うのが「ホテルみたいな部屋」。確かに物が少なくスッキリとしていて清潔なホテルは、ぐっすりと眠れる人が多いでしょう。つまり、寝室をホテルの部屋のように整えれば、睡眠の質が上がり、仕事のパフォーマンスもアップし、自然とお金が貯まる家へと近づいていくというわけです。
倉庫化した寝室をホテル化するためには、何から始めたらよいのでしょうか? 3つのステップがあります。
ステップ1:不要品を処分する
ホテルの部屋には、とにかく物がありません。それに対して、倉庫化している寝室は物であふれています。まず、ベッド付近にある役目が終わったもの(ゴミ)や壊れたものを、一つひとつ見直し、不要なものは処分しましょう。ベッド下から段ボールや紙袋を取り出して、それらも要不要に分けます。
また寝室に当たり前にある「布団」も整理しましょう。よくあるのが、来客用の布団が何組もあるケース。昔の家はどこも来客が多く、来客用の布団が用意されていましたが、今は来客もそれほど多くないのではないでしょうか。
また子供が独立するなど家族構成が変わったのに、布団はそのままということがありがち。でも布団は、一人につき夏用、冬用の2セットあれば十分。来客時はレンタル布団を利用すれば、来客用の布団は処分しても問題ありません。布団を処分すると、収納スペースが、かなり空きますよ。
ちなみに、お金の貯まらない寝室には、布団のシーツや枕カバーなどの「洗い替え」も、やたらあります。もちろん小さい子どもがいる家は、子どもが吐いたり、漏らしたり、突発的なことが起こり、洗い替えが必要になりますが、大人だけの生活であれば、緊急事態が起こってシーツを替えないといけない、なんてことはそうないですよね。
シーツを替えたいときは、その日に使ったものを朝洗って干しておけば、たいてい夜には乾きます。天気が悪いときは、乾燥機を使えばいいですし、乾燥機がなければ、近くのコインランドリーで乾燥だけすればよいでしょう。
実際、私も洗い替え用の寝具は持っていません。持っているシーツや枕カバーは、使っている一枚だけ。それで困ったことはありません。洗い替えをなくすだけでも、無駄買いが減ってお金が貯まるのではないでしょうか。
カーテンが閉めっぱなし……は危険
ステップ2:残ったものを収納する
残ったものは、寝室の押し入れやクローゼットなどの収納スペースにしまいましょう。使わない羽毛布団は、専用のケースに入れると、立てたり重ねたりできて便利です。
またベッド下に収納するなら、湿気の入らないプラスチックケースを活用しましょう。段ボールや紙袋など“紙”は湿気を吸うのでカビの元。ほこりもたまりやすいので、絶対にNGです。
ステップ3:カーテンを整える
お金の貯まらない寝室は、カーテンの丈が短かったり、長すぎたり、サイズが合っていないことがよくあります。そして、そのカーテンは、たいてい日中も閉めっぱなし。「部屋が汚いから開けたくない」「物があるので開閉しにくい」といったことが理由です。
朝起きたらまずはカーテンを開けて、自分も朝日を浴びて、寝室の空気を入れ替えることから始めましょう。カーテンの丈が合っていないなら、合うものに取りかえましょう。
ちなみに遮光カーテンにすれば、外からの光が入らず、睡眠の質が高まります。
一日が変わる2つの習慣
朝起きたらカーテンを開けるほかに、ぜひ身に付けてほしい習慣が「ベッドメイキング」です。
朝、ベッドメイクしておけば、疲れた日にそのまま倒れ込んでも、よい睡眠が得られます。帰ってベッドがグチャグチャだと、疲れがとれるどころかイライラも相まって、疲れが倍増してしまいます。
ベッドメイクは、わずかな時間でできます。朝、起きたら、まず掛け布団をバサッと開いて、湿気を逃しましょう。朝食をとったり、メイクをしたりして、いよいよ出かけるというときに掛け布団を元に戻したら、ベッドカバーをかけて、きれいに整えます。
畳で寝ている人は、布団を畳み押し入れに入れましょう。敷きっぱなしにはしないこと。
今は成人している息子が小学生の頃、グチャグチャな布団のまま家を出たことがあります。自分が帰ってきて布団がグチャグチャだと疲れるし、やる気もなくなる、だから必ずベッドメイクしなさいと、ふだんから口うるさく言っていたので、私はマンションの下まで追いかけました。そして息子を連れ戻し、ベッドメイクをさせたんですね。
息子は遅刻ギリギリになってしまい、泣きながら学校に行きましたが、それ以来、5分早く起きて、ベッドメイクをしてから家を出るようになり、それは大人になった今も習慣になっているようです。
ベッドメイクは、心の安定につながるだけでなく、朝起きたときの区切りにもなります。ベッドをいったんきれいに整えると、二度寝しにくくなるんですね。ベッドの上でダラダラ過ごすこともなくなるでしょう。
もう一つ、習慣として気をつけたいのが、パジャマや羽織りものなど、脱いだものの扱い。寝室にカゴを用意して、そこに入れておく人もいますし、私が子どもの頃は、洗面所に置くルールでした。
これは人それぞれ、しやすいやり方でOKですが、いずれも散らからないように「一時置き場」をつくることが大事ですね。
寝室を見て問う「自分を大事にできているか」
実際、寝室を片づけたら、お金が貯まるようになったと話す人は何人もいらっしゃいます。例えばある方はシングルマザーで、小学生のお子さんと二人暮らしでした。セミダブルベッドで一緒に寝ていたけれど、子どもの成長で、ベッドがきつくなってきた。子どもに蹴られて夜中に目が覚めることも……。
そこで、自分用に寝室をつくり寝る場所をきれいに整えたら、仕事に対するやる気がわくようになったそうです。やはり一日のモチベーションが違うとおっしゃっていました。
仕事から帰ってきて、今までは潜り込むように布団に入っていたのが「今は寝室でアロマを炊いたり、枕元に間接照明を置いたり、そういうゆとりのある自分になれたのがうれしいです」と話してくれました。
冒頭でもお伝えした通り、寝室というのは、誰にも見られないからこそ、自分に対する扱いが出る場所です。
だからこそ、そこでは毎日、頑張っている自分をいたわってほしい。自分がいちばん癒されて、明日の朝、元気に目覚められるような寝室をつくってほしいですね。そうすることで、お金も貯まるようになっていくでしょう。