不要品買取は、ノーリスクの投資法?
先日、長年持て余していた細々としたキャンプ用品一式を、近所のリサイクルショップに売りに行きました。
買取価格はまったく期待していませんでしたが、
・ランプ……500円
・折りたたみイス……1000円
・クーラーボックス……1500円
などなど。
有難いことに、意外としっかりお値段が付き、合計1万円超と、ちょっとしたお小遣いとなりました。それらキャンプ用品は、もともとは捨てようかなと思っていたわけですから、言わば元手は0円。
そんな不要品が1円でも値段が付けば、それはノーリスクの投資と言えるのではないでしょうか。そこで、これはFP(ファイナンシャルプランナー)として、少し研究してみる価値はあるぞと思い、本稿を執筆しました。
いまこそ、何でも、高く売れるチャンス?
そもそも、私が買取価格にはまったく期待していなかったのは、かなり以前(10年超前)にリサイクルショップで食器や雑貨等を売った際に、1つ10円程度で買い叩かれた苦い記憶があるからです。
しかし、以前とは時代が違います。
まず、いまではリサイクル・リユースの概念の浸透により、中古品に対する抵抗感は薄れ、中古品の需要は増しています。また、昨今の物価高からも、(割安な)中古品の需要が増していることもあり、リサイクルショップでは、それなりの値段で買い取ってくれるのです。
そして、この物価高は、買取価格にも反映され、買取価格上昇につながります。
さらに言えば、リサイクルショップ増加による買取競争も過熱しており、それらも買取価格上昇につながっているわけです。
実際、リサイクルショップを巡ってみると、「高価買取」「何でも買取ます」といった文字が目立ちます。また、悪趣味なデザインの置物など、これは一体誰が買うんだというようなものも売られており、「今は何でも売れるんだな」と確信するのでした。
自信満々の商品が、衝撃の買取価格
そこで私は早速、家の中をひっくり返し、何か売れそうなものはないかと探しました。そして、服やカバン、食器やタオル、諸々の雑貨と、もう使うことはないだろうと思えるものは片っ端から、近所のリサイクルショップへ持ち込んだのでした。
そこで気付いたのが、「これは少なくとも1000円で売れるだろう」と思っていたものが100円だったり、「これはせいぜい100円だろう」と思っていたものが1000円だったりと、実際の買取価格は、自分の予想とかなり食い違うことでした。
これには、自分の鑑定眼のなさにうなだれつつも、予想外の値段が付くことがゲームのようで面白く、ますますリサイクルショップにのめり込むのでした。そして、リサイクルショップの利用にもかなり慣れた段階で、私は真打登場とばかりに、とっておきの商品を売りに行ったのでした。
それは、8万円程で購入した、そこそこ高級な椅子。
ただ、ちょっと変わったデザインで、私のお尻には合わずにほとんど使わずじまい。そして今後も使わないであろう、残念な椅子でもありました。
とはいえ、元は8万円もしたのだから、1万円くらいで売れるのでは、と大いに期待をしながら、密かに売り時を伺っていたのでした。しかし、提示された買取価格は500円と、これには大きなショックを受けました。
買取価格のポイントは、「(すぐに)売れるかどうか」
そこでようやく気付いたのは、買取価格には、その商品の定価(もしくは自身の購入価格)はあまり関係ない、ということでした。すなわち、買取価格のポイントは、ショップ側から見て「(すぐに)売れるかどうか」、すなわち、需要があるかどうか、ということでした。
ショップ側としては、いくら安い値段で買取っても、それが売れないことには売り上げは0円です。
しかも、その売れない商品のための保管・管理といった維持費がかかりますし、また、その売れない商品を陳列することで、他の商品を陳列できないという機会損失を考慮すれば、相当な損失でしょう。
売れないと判断すれば、そもそも買取ってもくれないのも、納得ですよね。逆に、すぐに売れると判断した商品であれば、買取った時点でほぼ利益が見込めるわけですから、高値買取にも納得なわけです。
私は当初、その理屈をあまり考えずに、持ち込んだ商品の定価(もしくは自身の購入価格)を基準に、買取価格を予想していたわけですから、予想買取価格と実際の買取価格が食い違うのは、当然と言えば当然のことだったわけです。
本や腕時計では、より顕著
この「(すぐに)売れるかどうか」の理屈は、本の買取でも同じです、というか、より顕著でした。リサイクルショップに味を占めた私は、これまでは買う一方で、ほとんど売ることはなかった蔵書についても、近所の中古本買取店で売り始めました。
すると、同じ時期に発売された、同じ定価の本でも、その人気度によって、その買取価格には相当な差が出ることに気付いたのです。
たとえば、同じ定価1500円の本でも、書店に平積みされているようなベストセラーなら800円以上で買取ってもらえることもありますが、通常は50~100円がいいところです。
売れ行き好調なベストセラーであれば、高値買取をしても、店頭でほぼ確実に売れるわけですからね。
ちなみに、私は腕時計が好きで、1万円前後のカジュアルウォッチも多く保有しています。
これらもリサイクルショップに売ってみたのですが、同じ定価1万円程度のものでも、近所のホームセンターで買ったようなものは500円程度でしたが、人気のカシオGショックであれば、5000円近くで売れたものもありました。
ここでも、まったく定価は当てにならないと、実感した次第です。
リサイクルショップでの買取と、株式投資の共通点
さて、買取価格のポイントは、ショップ側から見て「(すぐに)売れるかどうか」、すなわち、需要があるかどうか、と書きました。しかし、それを頭では分かってはいても、いざ売るとなると、どうしても自身の買値がチラつくものです。
そして、それはまさに、株式投資などで売り時を考えるときに、自身の買値をベースにして(買値からいくら値上がりしたか、値下がりしたかと)考えてしまうことと似ているわけです。
でも実際には、その銘柄の価格が適正か否かは、自身の買値などまったく関係ないですよね。適正価格については、そのときの客観的な状況(※)で判断しないといけないわけです。
※企業の業績や財務状況、さらには需給要素など
そういった理屈をしっかり理解しておけば、いざ売るときに「あれだけ高かったんだから、もっと高く売れると思ったのに……」と、無駄に落胆することはないでしょう。また、将来的に売ることも考えているのであれば、その購入時には、(自分の好みだけでなく)世間での需要を意識しておくのも一考です。
これはまさに、株式投資の格言「美人投票(自分の好みではなく、より多くの投資家が好みそうな銘柄を選ぶべきである)」と同じ理屈ですね。
すなわち、リサイクルショップでの買取では、株式投資などの投資にも共通するところがあると言えるでしょう。
リサイクルショップで、少しでも高く売るためのコツ
それでは、そのような大原則(買取価格のポイントは「需要」)を踏まえたうえで、少しでも高く売るためのコツを3点紹介しましょう。
1.季節(シーズン)を意識する
たとえば、夏物の服は、春~初夏に売ることで、(それ以外の時期に売ることに比べて)高値での買取となることが多いですし、冬物の服は、秋頃に売れば、高値での買取となりやすいです。
いわゆるシーズンモノは一定の売れ行きが見込みやすく、ショップとしてはシーズン前に積極的に買取ろうとするわけですから、当然、高値買取となりやすいわけです。
すなわち、シーズンを意識することで、より高い買取が見込めるのです。
ちなみに、冒頭で「細々としたキャンプ用品一式を売った」と書きましたが、それはちょうど夏前の頃。今思えば、それはまさに絶好のタイミングだったわけで、満足な値段が付いたのも、そのタイミングの影響も大きかったと思います。
ただ、調子に乗って、次々と不要品を引っ張り出しては売っていく中で、夏本番にマフラーを売ってしまったのは失敗でした。
1万円程で買ったマフラーでしたが、その買取価格はわずか100円。これが冬前の売却であれば、もう少し高値で売れたのではないかと、いまになって後悔しております。
2.売るための仕組みの強いショップ(≒大手チェーン)で売る
ショップ側が、「(すぐに)売れる」と判断した商品は、高値買取になりやすいことは、すでに触れた通りです。ただ、実際に「売れる」かどうかは、そのショップの力量に大きく左右されます。
当然、その力量の高い(売るための仕組みがしっかりしている)ショップの方が高値買取となりやすく、そのようなショップを選びたいものです。
店舗が大きい、店舗数が多い、ネット販売に強みがあるなど、ショップによって「売るための仕組み」はさまざまですが、基本的には、大型チェーンが安心でしょう。
ちなみに先日、私はゴルフクラブセットを売りました。クラブ30本程とバッグ2個と、けっこうな量でした。
ゴルフクラブについては、「専門店の方が、しっかり査定をしてくれるだろう」と思い、買取もやっている、近所の小さなゴルフショップへ行きました。
たいしたクラブなど1本もないのに、「ひょっとしたらプレミア価格が付くかも」と、図々しくもワクワクしていたのですが、まさかの買取不可。この鉄くず同然の厳しい評価に、ガッカリ肩を落とすのでした。
ただ、このまま引き下がるのは悔しく、その足で、そしてダメ元で、いつもの大型チェーンリサイクルショップへ行きました。するとなんと、すべて買取ってもらうことができ、合計5000円以上もの値段が付いたのでした。
最初に行ったゴルフ専門店は小規模で来客数も少なく、そしてその客層も玄人筋が多く、とても店頭で売れるような代物ではないと判断したのでしょう。
一方、いつものリサイクルショップには多くのお客様が訪れ、その客層も多種多様。
なので、鉄くず同然のクラブであっても、ある程度の需要はあり、売れるとの判断だったのでしょう。
※ただし、高価かつマニアックな商品であれば、リサイクルショップではなく専門店がよいでしょう
3.箱や説明書などの付属品は残しておく
これは当然と言えば当然ですが、箱や説明書などの付属品は、しっかり残しておくことです。
それら付属品があるかないかで、買取価格に大きな差がつくことは珍しくありません。
実際、前述の定価1万円のカシオGショックが5000円近くで売れたときには、「箱と説明書があったことが大きい」と店員さんも言っていました。
高く売るためのコツとしては、他にも、「少しでも早く売る」「汚れ等はふき取り、少しでも綺麗にしておく」「同種の商品は、まとめて売る」などがあります。
ちょっとしたことで、買取価格は大きく変わってくる可能性もあるので、ぜひ、意識してみてください。