何でも冷蔵庫に放り込みがちになる、食品のいたみやすい夏から残暑。お片づけ習慣化コンサルタントの西崎彩智さんは「そんなふうに冷蔵庫がパンパンの家はお金が貯まりません。お金が貯まらない家の冷蔵庫には、共通して4つのものが入っています」といいます――。
レトロな冷蔵庫のドアを開ける男
写真=iStock.com/M-Production
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冷蔵庫がパンパンだとお金がたまらない理由

片づけが苦手な人は、共通して冷蔵庫も冷凍室も物が詰まりパンパン。お金のやりくりに苦労している人の割合が高いのも特徴です。

冷蔵庫と冷凍室をすっきり片づけただけで「月2~3万円は食費がダウンしました!」と連絡をくれた人もいました。冷蔵庫や冷凍庫をすっきり整頓するだけで暮らしに余裕が生まれる……これは私が主催する片づけプロジェクトの受講生さんたちの多くが実感していることです。

ではなぜ、冷蔵庫がパンパンの家はお金が貯まらないのでしょうか? 理由は、主に2つ。

一つは、パンパンのため、どこに何があるかわからずロスが増えてしまうから。古くなって食べられなくなったり、購入したのを忘れダブって買ってきてしまったり、何かと無駄が出てきます。

もう一つは、電気代がアップするからです。冷蔵庫にものを詰め込み過ぎると、冷蔵庫の冷気の循環が悪くなり、余分なエネルギーが必要になるのです。

一見小さなことに思えますが、お金が貯まる人の共通点は「小さな無駄でも、無駄にすることを嫌う」こと。片づけるだけで「なくなる無駄」ならなくす、そんな一歩が生活習慣や姿勢を大きく変えていき、お金が貯まらない家が、お金が貯まる家になっていくのです。

お金がたまらない家の冷蔵庫に入っているモノ

そもそも片づかない家の冷蔵庫は、何でパンパンになっているのでしょうか。ご自身の家の冷蔵庫、冷凍庫が同じような状態になっていないか、思い浮かべてみてください。

冷蔵庫のドアを開けた若い女性
写真=iStock.com/FG Trade
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(1)とりあえずの「つくりおき」

とりあえず煮物や炒め物などをつくり、タッパーに入れたものか、いつつくったものか、もはや内容もよくわからない残りもの。

(2)使いかけの調味料

旅先やお土産でもらった珍しい調味料やドレッシングなど。一度は空けて、あれこれ使ってみたけれど、それっきりになっているもの。

(3)ダイエット食品や美容食品

これを食べたらやせるかも、いつか食べるかも、と買ってきたダイエット&美容関係の「かも」ストックも、冷蔵庫で死蔵しがち。

(4)飲みかけのペットボトル

外から持ち帰った飲みかけのペットボトルは、とりあえず冷蔵庫に。ほぼ空っぽのペットボトルや常温管理で問題のないストックのペットボトルが、ぎっしり詰まっている家もあります。

冷凍庫をパンパンにする2つのモノ

片付かない家で冷凍室の隙間を埋めているものは、主にこの2つです。

(1)保冷剤

スーパーやデパートで食品を買うたびにもらう大小の保冷剤は、とりあえず冷凍室へ。いざというときのために、と30~40個あった家も。

(2)大パックの肉や魚

お徳用の大パックの肉や魚を買ってきて、そのまま冷凍室に入っているパターン。何カ月も保管して、冷凍やけを起こしています。

冷蔵庫パンパン問題を解消する! 3つのステップ

では、こうした冷蔵庫パンパン問題を解消するには、何から手をつけていけばよいのでしょうか。順番に説明します。

ステップ1:中身を総点検する

冷蔵庫の中に何があるか、すべてチェックして、古くなった食材と賞味期限切れの調味料は、最初にすべて処分しましょう。捨てるのが苦手な人も、食材には賞味期限が記載されていて、捨てる捨てないの基準が明確なので取捨がスムーズに進みます。

何度か腐らせたり、捨てることになったりしたことがあったものは「見つけたら好きで買うけれど、自分はこれを結局使わないんだ。自分の暮らしには必要のないものなんだ」ということを受け入れてみてください。それを買わなくなるだけで、未来の無駄な支出を減らせますよ。

特にダイエット食品や美容食品を買って残っているのは、理想の自分と本当の自分で食べたいものが違うということ。今日から本当に食べるものは何か、片づけながら考えてみましょう。

ペットボトルは、家でつくった麦茶やコーヒーをマイボトルに入れて出かければ、わざわざ買わなくてもすみますし、始めてみると案外面倒ではなく習慣になりますよ。

冷凍室に入れておく保冷剤は、子供がスポーツをしている家なら10個ぐらいはあってもいいかもしれません。そうでなければ、お弁当用や贈り物用に、3個ぐらい入れておけば十分ではないでしょうか。

使う「かも」の「かも」ストックは、手離してください。

「無駄にしない癖」をつけるステップ

ステップ2:今ある食材を使い切る

ステップ1の整理が終わったら追加の買い出しはせず、いったん中身がほぼ空になるまで、冷蔵庫にある食材だけでなるべくしのぎましょう。整理におすすめなメニューが、カレーや焼きそば、味噌汁、スープなど。使いかけの肉や野菜を美味しく使い切れます。

ステップ3:買い物に行く

ほぼ空になったら、ライフスタイルや家族の人数に合わせて3日~1週間で食べきれる量を買いに行きましょう。買い過ぎにはくれぐれも注意。それで冷蔵庫がパンパンになると、元の木阿弥です。

冷蔵庫スッキリを「キープ」できる3つのコツ

せっかく整理したあと、そのままの状態をキープしたいですよね。常に冷蔵庫をスッキリした状態を保つコツは、3つあります。

(1)中身を7割以下に留める

まず中身を7割以下に留めること。食材は手前が空くように「凹」の形で収納するのがポイントです。このように冷蔵庫の真ん中を空けておけば、奥まで見渡せるので、どこに何があるかを買い物の前にサッと確認でき、しっかりと在庫管理ができます。3割以上の余白があるか、見えない食材はないかチェックしてください。

(2)ジャンル分けする

冷蔵庫の段ごとに、何系を入れるか「ジャンル分け」します。わが家の場合、一番上は、バターやジャムなど、使用頻度の低いもの。これらは、ケーキをつくるときに使うターンテーブルに置き、背の低い私でも奥に何が入っているかわかるように「とにかく常に見えるように」を意識しています。

真ん中の段には、つくりおきや、すぐに食べるいただきものなど。

一番下は常に空けておいて、つくった鍋ごと入れられるようにしています。

女性が冷蔵庫をあけて4段の内容が見えている写真
撮影=プレジデントオンライン編集部

ちなみに野菜室は、食材ごとに紙袋に入れて、仕切っています。じゃがいもの土や玉ねぎの皮などが落ちても、紙袋ごと捨てればOKなのでラクですよ。

(3)縦に冷凍する

冷凍室に食材を入れるときは、縦に入れること。そうすると省スペースで保管できるうえ、ワンアクションでとり出せます。わが家の冷凍室は2段あり、1段は、ジッパー付き袋に入れたトマトソースやカレーなどを平らにして、凍らせるために使います。

冷凍庫
撮影=プレジデントオンライン編集部
(左)凍らせるために常に空けている (右)凍らせて縦に収納することで、同じものを収納しても余白が生まれる

平らにして凍ったら、大きい冷凍室に移動させて、縦にしまい「縦収納」でスペースをつくっています。

わが家の冷蔵庫は近所のスーパー

片づけが苦手な人は、買い物の回数が多い傾向があります。仕事帰りにスーパーになんとなく寄るのが、毎日のルーティンになっているのです。

「夕食は何にしようかな」「今日は何を食べようかな」と、冷蔵庫の中身を把握しないまま、とりあえずスーパーに踏み込んでから、献立を考える。実は冷蔵庫の中に食べなきゃいけないものがあるのに、「疲れたからお惣菜を買って帰ろう」「肉が特売でオトクだから買っておこう」なんて、ついつい買ってしまう。お金が貯まらないのは当然です。

「安いから」「食べるかも」と値段にひかれて無目的に買ってくると、「食べたいもの」ではなく「食べなきゃいけないもの」が冷蔵庫に詰まっていきます。だから無駄になってしまうんですね。

冷蔵庫がパンパンなのに、つい買ってしまうのは「損をしたくない」という心理。今日ならお得に買える、買えば使う「かも」などです。でもそれで買ってきたものが結局、大きな損になっています。

あなたの家の冷蔵庫は、よく行く近所のスーパーだと思いましょう。必要なものがあれば、新鮮なものを買いに行けばOK。家の冷蔵庫はあくまでも「一時置き場所」と思いましょう。一時置き場なのに、倉庫のようになっているのは違いますよね。

市場で買い物をする女性
写真=iStock.com/PixelsEffect
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「損しないように」から「無駄にしないように」に認識を変えて、スペースに余裕のある冷蔵庫、冷凍庫をキープしていきましょう。