暑くなると、特に水回りのにおいが気になる。お片づけ習慣化コンサルタントの西崎彩智さんは「片づいていない家の台所は、スポンジや洗剤がやたらと多いのが特徴で、また家のいたるところにゴミ箱がある。においケアで大事なことは、“すぐに”行うこと。そのためにはモノを減らすことが大切だ」という――。
キッチンの流し
写真=iStock.com/SolStock
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家のにおいとお金の関係

これまで1万軒以上のお宅を訪問したり片付けの相談にこたえたりする中で見えてきたのは、片付けで悩んでいるお宅ではお金にも悩んでいることが多いということです。とくに夏になると、それが「におい」となって表面化します。

家がにおうのは、無駄に購入した余計なものが家中に溢れて、視覚的に片付いていないため、においケアにまで手が回っていない証拠。だから、「におう家ほどお金が貯まらない」といえるのです。

溢れるスポンジや洗剤…モノを「減らす」ことから始めよう

もともと片づいていない家は、三角コーナーやゴミ箱のように、実は不要なものが多い。それらがにおいの原因になっているので、そういった当たり前に使っているものをなくすと、においケアにつながります。

また、片づいていない家の台所は、スポンジや洗剤もやたらと多いのが特徴です。スポンジは食器洗い用、フライパン用、洗い桶用、シンク用など、何種類もあります。でもスポンジは1~2つで十分なのです。

洗剤についても、食器洗い用や手洗い用など何種類もありますが、おすすめは無添加の食器洗い洗剤をひとつ置くこと。手洗いもできて手荒れもしないので、石鹸もゴム手袋も不要です。プラプラぶら下がる派手色のゴム手袋が、キッチンの景観を壊すこともありません。このように、1本で何役もこなすアイテムを取り入れると、自然とものを減らすことができます。

さらにいうと、わが家にはコップが3つしかありません。3つしかないので、使ったらすぐに洗わないと、次に飲みたいものが飲めない。そうすると必然的に、使ったらすぐに洗うという習慣がつきます。

とにかく、においケアで大事なことは、“すぐに”行うこと。あらかじめ物を減らしておけば、片づけやすくなるのはもちろん、すぐに行う習慣が自然とつくのではないでしょうか。そしてもちろん、物が少ないということは、支出も押さえられているということを意味します。

ゴミ箱は「一家に1個」で十分

散らかっている家ほどゴミ箱が多く、家のあちこちにあることが多いです。ゴミ箱がたくさんあると、一つひとつになかなか溜まりませんし、いちいち集めるのも面倒なので、ゴミ箱には、いつもゴミが入ったまま。暑くなると、そういったゴミ箱からもにおいが発生します。

家じゅうのゴミをすぐに処分するなら、ゴミ箱はリビングダイニングに一つ置けば十分です。たまったゴミから捨てることになるので、においも出づらくなります。

たった一つのゴミ箱は、ぜひ「お気に入りのもの」を選んでほしいですね。自分の好きなものなら、大事に使おうとするので、ゴミがあふれていたら気になるし、汚れたらお手入れもするでしょう。我が家のゴミ箱は、ちょっとこだわって蓋が自動で開閉するタイプ。2万円ほどしましたが、調理中の手が汚れているときも開閉できて、すごく便利です。手を使わないので、ゴミ箱自体が手垢で汚れることもありません。

西崎家のお気に入りゴミ箱は、EKO「ファントムセンサービン 45L」
編集部撮影
西崎家のお気に入りゴミ箱は、EKO「ファントムセンサービン 45L」

ゴミ箱を「見たくないもの」「触りたくないもの」ではなく、「お気に入りのもの」にすることでストレスを感じることなく、こまめにチェックするようになるはずです。

「生ゴミ」は即・キッチンから離す

家にあふれるものを減らして片付けができたら、念押しのにおい対策です。

実際、におうのは水回り。まず「台所」と「洗面所」から始めましょう。

野菜クズや魚の骨に頭、卵の殻などの生ゴミは、三角コーナーや排水口ネットにそのままにしておくとにおうので、ビニール袋などに密封して“すぐに”捨てること。その日のうちにキッチンから離す習慣づくりが大事です。振り返ってみれば私の母も、生ゴミはイチゴの空パックなどに入れて、その日のうちに捨てていました。

24時間ゴミを捨てられる集合住宅であれば、その日のうちにゴミに出しましょう。それができなければ、次のゴミの日まで冷凍庫に入れて保管しておきます。それだけ聞くと嫌悪感があるかもしれませんが、ジップロックなどのフリーザーバッグを上手に使うのです。

「におわないテク」生ゴミをキッチンからすぐに離す方法
ビニール袋にいれて口を絞り、空気を抜いてカサを減らした生ゴミを、フリーザーバッグに入れていきましょう。二重にすることで嫌悪感が軽減されますし、なんといってもにおわない! ゴミの日にそれごと捨てればOKです。フリーザーバッグを入れるスペースを確保するために、あらかじめ冷凍庫を整理する必要もあるので、冷凍庫の「余白」をつくる習慣もつくることができます。
袋をひっかけて使う、折り畳みタイプのホルダーも便利です。「我が家で愛用しているのは、山崎実業の『ポリ袋エコホルダー』。使わないときは折りたたんでコンパクトに収納できます。常に三角コーナーがある状態をやめるのにおすすめのアイテムです」(西崎さん)
編集部撮影
袋をひっかけて使う、折り畳みタイプのホルダーも便利です。「我が家で愛用しているのは、山崎実業の『ポリ袋エコホルダー』。使わないときは折りたたんでコンパクトに収納できます。常に三角コーナーがある状態をやめるのにおすすめのアイテムです」(西崎さん)

あると便利! 臭わない家電2選

また、生ゴミを細かく粉砕して、排水溝から排出する家電製品「ディスポーザー」の導入も効果的です。あらかじめ備えつけられている住宅もありますが、なくても後付けが可能。一度使うと、本当に便利で手放せないと感じます。私が担当する片付けの授業の受講生さんの中にも「自分の家にはあるけれど、実家にはないので、後づけを検討している」と話されている方もいました。

さらに温風で生ごみを乾燥させる「生ゴミ乾燥機」も、脱臭効果が高く、ゴミの量を減らせるのでおすすめです。

生ゴミをすぐに捨てる習慣がつけば、三角コーナーや排水口ネットは不要になります。

そして一日の最後に、排水溝や網をきれいに洗い、除菌剤をシュッシュッとかけて寝る。三角コーナーや排水口ネットを使わなければ、無駄なコストも省けます。

使い捨て「ダスター」で悪臭を断つ

台布巾も使い込むうちにイヤなにおいがしみついてきます。わが家では、ダスターといわれる使い捨ての不織布を、台布巾として使っています。2週間に一度、3枚をおろして、それらを繰り返し使い、最後はゴミ箱をまるっと拭いてからポイッ。捨てても罪悪感のない価格帯のものが多いのも、気に入っているところです。

「我が家で愛用しているのは、無印良品のキッチンダスター。拭き掃除に十分な大きさがあり、厚みもありタフ。安心して繰り返し使えます。オンラインショップでは在庫なしなので、店頭やアスクルのネットショップなどでもし見かけたらぜひチェックしてほしいです」(西崎さん)
筆者撮影
「我が家で愛用しているのは、無印良品のキッチンダスター。拭き掃除に十分な大きさがあり、厚みもありタフ。安心して繰り返し使えます。オンラインショップでは在庫なしなので、店頭やアスクルのネットショップなどでもし見かけたらぜひチェックしてほしいです」(西崎さん)

こんなふうに替えどきに迷う消耗品は、2週間に一度の1日と15日、あるいは1カ月に一度の1日など、あらかじめ決めた日に処分すると決めておくのがおすすめ。わが家の場合、ダスターやカルキ除去のカートリッジは2週間に一度、受講生さんの中には、台所スポンジや歯ブラシは、1カ月で処分すると決めている方もいらっしゃいました。

自分の記憶に頼らず、カレンダーに頼る。しくみ化しておくと非常に楽ですし、いつもスッキリと気持ちの良い状態で使えます。

除湿器フル活用で消臭効果アップ

台所の次は、洗面所をチェックしましょう。

まず洗面所自体、湿気がたまりやすく、においのこもりやすい場所です。洗濯物はにおい防止のためには外に干すのがいちばんですが、雨で外に干せない場合が問題ですよね。我が家では、洗面所に張った突っ張り棒に洗濯物を吊り下げ、その下から除湿器を回すようにしています。洗濯ものはもちろん、洗面所全体がカラッと乾きます。浴室乾燥機よりも、ランニングコストも安くすむでしょう。

また除湿器は、どこにでも持ち運べるので、クローゼットの中で回すと、洋服類もすっきり乾き、いつでも気持ちよく着られます。一家に一台、あってもよい家電だと思います。

さらに洗面所の「洗濯機」も、においの発生源となりますね。今は手軽な掃除アイテムも出ているので、洗濯機内は定期的にクリーニングしましょう。

そもそも、自分の家のにおいというのは、気づきにくいもの。意識せず暮らしていると、においが出ているかどうかわからないので、「うちは大丈夫」ではなくて「うちは大丈夫?」と意識することが改善の第一歩となります。