企業の現場担当者に調査
新型コロナウイルスの感染拡大が収束して、景気が本格的に回復するのはいつになるのか──。そんな景気予測に役立つのがPMIです。PMIは、Purchasing Managers’ Index(購買担当者景気指数)の略で、企業の購買担当者に、新規の受注や生産などの経済活動が前月と比べてどうだったかを聞き取り調査し、結果を指数化したものです。
数値が50を超えていれば、経済活動が前月比で増加したことを示しますし、50なら横ばい、50未満は減少となります。PMIは民間の調査会社が公表していますが、auじぶん銀行では日本で代表的なIHSマークイット社が算出するPMIを提供しています。
PMIは、企業の現場の声を反映した数値ですから、経済活動の変化を素早くキャッチすることができます。
また、GDP(国内総生産)などの公式的な経済指標は年に4回の公表ですが、PMIは毎月公表されますので、いち早く動向を知ることができる、景気の先行指標として利用されています。
2つのPMIで景気を予測
一般的なPMIには製造業を対象に調査した「製造業PMI」とサービス業を対象とした「サービス業PMI」があります。この2つのPMIが50を超えていれば、景気がいい状態だと判断していいでしょう。また、2つのPMIを複合した日本複合PMIも公表されています。
実際にPMIがどう変化しているかを見てみましょう。図は、2020年1月以降の日本の製造業PMI、サービス業PMIの推移を表したものです。新型コロナウイルスの感染が拡大した20年3月以降は外出の自粛が求められ、ホテルや飲食店などのサービス業が大きな打撃を受けました。それはPMIにも表れています。サービス業PMIは20年3月以降、急激に落ち込み50を超えたのは21年10月です。それに対して製造業PMIは落ち込みが緩やかで、サービス業よりも新型コロナウイルス感染拡大の影響が小さいことがわかります。
21年10月には2つのPMIが50を超えて景気回復の兆しが見られました。しかし、22年の年明けからオミクロン株によって感染が再拡大すると、サービス業PMIが再び50を下回っています。これが50を超えてくれば景気回復が近いと考えていいでしょう。
景気が回復すれば企業業績も向上して株価上昇や給与アップにつながる可能性も高くなります。投資や転職の際にもPMIを参考にするといいかもしれません。