コロナ禍の経済対策として先日「マイナポイント」の第2弾が決定しました。しかし、そもそもマイナポイントの受け取り方を詳しく知らない人が多いのも現状です。マネーコンサルタントの頼藤太希さんに、マイナポイントを上手に受け取る方法を教えてもらいました――。
複数枚の千円札
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まずはマイナポイント第1弾をおさらい

2021年11月19日、政府は「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定しました。新型コロナウイルス感染症の拡大防止、「ウィズコロナ」での経済活動再開、成長促進、国民の安全・安心の確保の4つを柱とした、財政支出約55兆7000億円の大型経済対策となっています。このなかに、マイナンバーカード取得者が受け取れる「マイナポイント」の第2弾が盛り込まれました。

さて、2020年に実施されたマイナポイントのほうは、みなさんきちんと5000円分受け取ったでしょうか。経済対策の一環として、このマイナポイントの「第2弾」が実施されることが決まりました。そこで今回は、マイナポイント第1弾・第2弾の概要を紹介し、受け取り方について考えていきます。

マイナポイント第2弾を紹介する前に、第1弾の概要をおさらいしておきましょう。

マイナポイントは、マイナンバーカードを取得し、マイナポイントの予約・申込をした方が受け取ることができるポイントです。マイナポイントの予約・申込をした後、選択したキャッシュレス決済サービスでチャージまたは買い物をすると、その金額の25%(上限5000円)分のマイナポイントが受け取れます。

なお、「マイナポイント」という名前のポイントを受け取るのではなく、選択したキャッシュレス決済のポイントが受け取れます。たとえばPayPayを選んだ場合は、2万円チャージすれば5000ポイントの「PayPayボーナス」を受け取ることができます。また「楽天カード」を選ぶと、2万円分買い物したときに5000ポイントの「楽天ポイント」を受け取ることができます。

第1弾では還元上乗せキャンペーンも

マイナポイント第1弾の申し込みは2020年7月にスタートし、2020年9月からマイナポイントの付与が行われました。マイナポイントの対象となるキャッシュレス決済サービスは、電子マネー・QRコード決済・クレジットカードなど100種類以上もありました。そのなかで、キャッシュレス決済各社は、自社のサービスでマイナポイントを受け取ってもらおうと、マイナポイントに独自で還元を上乗せするキャンペーンを実施していました。

主な還元上乗せキャンペーンの例

たとえばWAONの場合、マイナポイントを受け取るキャッシュレス決済として電子マネーWAONを選んで2万円チャージを行うと、本来の5000円分に加えて2000円分のWAONが受け取れた、というわけです。また、マイナポイントで受け取る手続きをした方の中から抽選でポイントが当たるキャッシュレス決済サービスもありました。

マイナポイント第2弾決定 その中身は?

マイナポイント第2弾の具体的な内容は、次の3つとなっています。

①マイナンバーカードを新規に取得した方に最大5000円相当のポイント

こちらはマイナポイント第1弾と同様、マイナンバーカードを新規に取得した方に5000円相当のポイントが付与されるというものです。「新規」とありますが、すでにマイナンバーカードを取得したものの、マイナポイント第1弾を申し込んでいない人も受け取ることができます。

マイナポイント第1弾を受け取るためには「2021年4月末までにマイナンバーカードを申請」している必要がありました。ですから、2021年5月以降にマイナンバーカードを申請した人も、マイナポイント第2弾で5000円分を受け取れるというわけです。

前回同様キャッシュレス決済とひも付けたうえで2万円利用することで、5000円相当のポイントが受け取れるとみられます。

②健康保険証としての利用登録を行った方に7500円相当のポイント

マイナンバーカードは健康保険証として使えるようになっています。この登録を行うと、7500円相当のポイントが受け取れます。すでに健康保険証としての登録を行った方も付与の対象です。

③公金受取口座の登録を行った方に7500円相当のポイント

公金受取口座とは、年金や児童手当、給付金などといった公金を受け取る口座のこと。マイナンバーカードに公金受取口座の登録、つまり銀行の預金口座をひも付けると、7500円相当のポイントが受け取れます。

ポイントと書かれた木製ブロックを積み上げて
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最大2万円のマイナポイント受け取りの可能性

マイナポイント第1弾を申し込んだ方は上記①の対象外ですので最大で1万5000円分、その他の方は最大で2万円分のマイナポイントを受け取ることができます。総務省に確認したところ、現時点で決まっているのはここまでで、具体的な受け取りの方法などはこれから決まるとのことでした。特に健康保険証や公金受取口座のマイナポイントをどう受け取るのかは、続報を待ちましょう。とはいえ、キャッシュレス決済で受け取るのが有力だと筆者は見ています。

マイナポイントは、経済対策に加えて、マイナンバーカードの普及・利用促進を図りたいという国の思惑が透けてみえる制度です。マイナポイント第1弾の付与がスタートした2020年9月1日時点のマイナンバーカードの普及率は19.4%でしたが、これが2021年11月1日時点では39.1%と、ほぼ倍増しています。マイナポイント第2弾の実施によって、マイナンバーカードがさらに普及する可能性もあるでしょう。

各社や自治体のマイナポイント「上乗せ」はあるのか

マイナポイントを受け取るならば、なるべくお得に受け取りたいですよね。キャッシュレス決済サービス各社の上乗せがあるかどうかはまだわかりませんが、前回のことを考えると、今回も同様のキャンペーンが行われる可能性は十分にあるでしょう。

また、自治体がマイナポイントの上乗せを行う可能性もあります。自治体がマイナポイントとは別の上乗せの施策を行う場合、国の交付金を活用できるためです。

現に、マイナポイント第1弾のポイント上乗せを現時点(2021年11月24日)でも実施している自治体があります。

たとえば、広島県三次市の「自治体マイナポイント」では、同市内の対象店舗で楽天Edy、d払い、au PAYで決済を行うと、一人当たり上限額6000円相当のポイント還元が受けられます。また、栃木県宇都宮市の「上乗せポイント付与事業」でも、同市内の対象店舗でJ-Coin Pay、majica、au PAY、d払いを利用すると、1000円相当のポイント還元が受けられます。

今後各社・各自治体の情報が出揃ったら、そのなかで一番お得な方法を選んで申し込めばいいでしょう。

もっとも、上乗せばかり意識するのは本末転倒。いくら上乗せがあっても、普段よく使う店舗や活用している経済圏で使えないようでは、かえって無駄遣いになってしまう可能性があります。どこでお金を使っているのかを意識して、なるべくお得に使える方法を選びましょう。

マイナポイントは受け取るのが正解

マイナポイントを手に入れるには、マイナンバーカードを取得し、マイナポイントの予約・申込をする必要があります。

マイナポイント第2弾の実施に伴い、手続きの細かな手順が変わる可能性はありますが、「マイナンバーカードを取得する」こと自体は変わらないでしょう。ですから、もしマイナンバーカードをまだ持っていないのであれば、今のうちにつくっておくのがおすすめです。子どもなど、家族の分もつくっておけば、その分マイナポイントも多く受け取れます。

マイナンバーカードは、マイナンバーの記載された「通知カード」が手元にあるなら郵送・パソコン・スマホ・マイナンバーカード申請に対応した証明写真機を利用して申請できます。もし通知カードがない、マイナンバーもわからないという場合には、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせましょう。

正しく申請ができると、およそ1カ月程度で自宅に「交付通知書」のハガキが届きます。これが届いたら、交付通知書・マイナンバーの通知カード・本人確認書類を持って期限内に交付場所に行き、手続きを行います。これで、マイナンバーカードが手に入ります。

もっとも、マイナンバーカードをつくったり、マイナンバーカードの連携をしたりするのに抵抗のある方も少なくないのも事実です。「病院の情報を把握されてしまうかもしれない」「銀行口座の情報を知られてしまうかもしれない」と気にする方もいるでしょう。しかし、よく考えてみれば健康保険証の情報は健康保険組合、銀行口座の情報は税務署が把握している情報です。これらがマイナンバーとひも付いたところで、大きなリスクはありません。

むしろ、最大2万円というマイナポイントを受け取らずにいるほうがもったいない。「もらえるものはできるだけもらおう」と考えて、積極的に制度を利用する人が一番得をすると考えます。マイナポイント第2弾、ぜひ活用していきましょう。