将来に不安を感じて資格取得→資格難民
コロナ禍では、移動が制限されたために経済活動が停滞し、業績が悪化する企業も続出しています。このままで大丈夫なのか――。将来に不安を感じて、資格取得を考えた人も多いのではないでしょうか。
資格取得は転職の際に大きな武器になることもあります。とくに未経験の分野に転職を希望する場合には、資格の勉強を通じて、前もってある程度の知識を習得するのは意味のあることです。
しかし、資格難民に陥る人が多いのも事実です。とくに税理士や社労士といった士業の資格は人気がありますが、資格者数の増加傾向が続いており競争は激化しています。これはコロナ禍以前からの傾向です。
「条件に合う募集がない」「募集人員が少ない」…
トレンド総研の「『資格』と『キャリア』に関する調査レポート」(2018年)では、「資格難民」の実態が明らかになっています。
たとえば、資格難民の女性に「資格取得後の就職・転職活動において難しいと感じたのは、どのような点でしたか?」と聞いてみると、最も多かった回答は「条件に合う募集が少ない」(41%)でした。その後には、「経験者が優遇され、未経験の場合は不利になる」(36%)、「募集人員が少ない」(21%)、「人気の仕事であり、競争率が高い」(21%)と続きました。
せっかく資格を取得しても、さまざまな理由で、就職をあきらめざるを得なかったわけです。しかし、この回答を見て、何か気づくことはないでしょうか。
お金持ちは結果に結びつく資格を選ぶ
いずれの回答も「資格を取得する前に、ある程度は判断できたのではないか」、ということです。自分が取得しようとしている資格は、どの程度の需要があり、どんな募集があるか、実務経験がなくても就職できるか、競争率はどのくらいか、などについては、求人の内容などをチェックすれば、把握できます。
資格を取得するには、時間もお金もかかります。それだけのコストをかける価値があるのかは、事前にしっかりと見極める必要があります。なかには「資格を取得すればステージが上がる」と考えて、資格取得自体を目的にしてしまう人もいますが、資産1億円を貯めるような人には、あまり見当たりません。
お金持ちは、すでにお金があるので資格が必要ない面もありますが、もし資格を取得するのであれば結果に結びつくものを選びます。「何を」選択するかはとても重要なので、事前にリサーチをして、取得する意味があるかどうかをしっかり見極めるのです。
お金持ちは資格試験に高い確率で合格する
しかも、お金持ちは資格試験に高い確率で合格します。お金持ちは頭がいいから、ということではありません。時間の使い方に違いがありそうなのです。
普通の人は勉強に十分な時間を割くことができません。「忙しい」「時間がない」と言い訳ばかりします。ところが、お金持ちはとても忙しい人が多いのに、しっかりと勉強する時間を確保しています。
誰にとっても1日24時間しかありません。その中で、仕事や生活のために時間を使い、残った時間で資格の勉強をします。これは普通の人の時間の使い方です。ところが、お金持ちは優先的に勉強する時間を確保し、残った時間の中で仕事や生活をいかに効率的にこなすか考えます。
収入から優先的に貯蓄をする「先取り貯蓄」は貯蓄の王道であり、多くのお金持ちが実践してきた方法として広く知られています。「大切なことは先に確保する」という方法論はお金の貯め方だけでなく、時間の使い方でも有効のようです。
お金持ちの自己投資と言えば“体づくり”
また、お金持ちは、ふだんできなかったことをコロナ禍で積極的に始めています。たとえば、家にいる時間が増えたので、体づくりを始めた人が多いようです。私は以前からテニスクラブに通っていますが、コロナ禍になって新たに入会する人が急に増えてきました。
会員数が増えたので、待ち時間が長くなり、自然と雑談する機会も増えました。すると、40代、50代で会計士、医者など専門職や経営者、大企業勤務の方が多いようです。いずれも高収入の人たちで以前は仕事が忙しくて自分の時間がなかなか取れなかった人です。
それがコロナ禍で自分の時間を大切にしたり、家族との時間を大切にしたりするようになり、優先順位が変わってきているように感じます。
普通の人はコロナ禍で太り、お金持ちはやせる
コロナ禍で外出する機会が減り、「太った」と言う人が多くいますが、お金持ちは逆に「やせた」と言う人が多くなっています。普通の人は、時間に余裕ができるとダラダラと過ごしてしまいがちですが、お金持ちは基本的に自己管理ができています。だからこそ、時間に余裕ができると、これまでできなかったことを積極的に実践するようになり、結果が出ているのです。
一方でこの機会に資産運用を真剣に考え始めたお金持ちも少なくありません。資産1億円を貯める人には、投資で大きなリターンを確保した人もいれば、節約を徹底してコツコツ貯めた人もいます。
コツコツ貯めた人には、投資をまったくしていない人が多くいます。資産運用を考えなくても、残高が積み上がっていくばかりだったのです。しかし、銀行の口座に多額の残高があると営業の電話などがかかってきますから、「投資しないといけないのではないか」と思い始めているようです。
お金持ちがiDeCoやNISAを検討し始めている
以前は忙しくて時間がなかったために、勧誘の電話があっても聞く耳を持たなかったのですが、いまは時間があるので真剣に考えるようになっているのです。
当社に相談にやってくるお金持ちの中にも、「iDeCoやNISAはやっぱり始めた方がいいか」と相談する人が増えてきました。億単位の現預金があるお金持ちにとってはiDeCoもNISAもそれほど大きな効果はありませんが、「やらないよりやったほうがいいのではないか」と考えて始めています。
投資は少ない金額で始めて危機を体験するのも大事
少ない金額でも投資をすると勉強になります。株式などを保有していると、ときどき危機が起きて、相場が大きく下がるときがあります。そのときには嫌な思いをしても、慌てて売却せずに保有していれば、いずれ価格は元に戻ります。
今回のコロナショックでもそうでした。たとえば日経平均株価は、2020年の2月後半から3月にかけて約30%下落しましたが、11月には元の水準に回復しています。時間がたてば価格が戻る経験をするのは有効でしょう。
これはお金持ちに限りませんが、下がったときのつらい思いは勉強代だと割り切れる金額で投資を試してみるといいでしょう。一度、危機を経験すれば、次に危機が訪れたときに慌てずにすみます。
時間に余裕ができたときに何をするか。体づくりや投資など、結果に結びつくことを見極めて挑戦するのがお金持ちの習慣の一つなのです。