インデックス投信は低コストに。ETFは個性あるタイプが誕生
特定の株価指数などに値動きが連動するインデックス投信とETF。手軽に少額で分散投資できるといった共通点があるほか、インデックス投信は長期保有に向くのに対し、ETFは株式市場に上場し、長期にも短期投資にも向くなどの特徴がある。
インデックス投信の最新動向としては、購入時手数料無料が主流となり、信託報酬(保有中手数料)もかなりの水準まで下がったことが挙げられる。ETFは、特定の国や金や銀といった実物資産に連動するものなど、多様なタイプが誕生している。
「インデックス投信は低コストのものを積み立てで利用する。ETFは興味が持てる銘柄を見つけ短期売買も視野に入れる。性格や目的に応じて両方を上手に使いこなせば、楽しく投資できますよ」(野尻美江子さん)
使い方と注意点。投資を楽しむためのコツをおさえておこう
【予算を決めて】その範囲内で楽しむ
個別銘柄に投資するより分散効果はあるが、投資先を絞るほど値動きは大きくなりやすい。銘柄にもよるが、ETFの多くは数千円から投資できるので、まずは少額で、日常生活に支障のない範囲で挑戦しよう。
「価格変動にさらされるのが投資の世界。値上がりしたら売却して利益を確定させ、そのお金で別の銘柄を買うというサイクルにすれば、自身で決めた予算の範囲でさまざまな投資ができ、リスクを取りすぎる心配もありません」(野尻さん)。いくら下がったら売るなど、損切りのラインも決めておきたい。
ベースの投資に【プラスαする】
資産形成には、「つみたてNISA」などで、国内や先進国の株式などに幅広く投資するベーシックなインデックス投信を積み立てるのが適している。投資先を絞ったインデックス投信やETFは、そこに彩りを添えるイメージで加えたい。
「期待している国や業種にピンポイントで投資したい場合や、期待している分野があるけれど銘柄が選びきれない場合でも、ETFを使えば手軽に投資できます。少額だからこそ、銘柄選びや値動きのチェックを楽しみながら高いリターンをめざす、というスタンスが適しています」
【コストや流動性を】要チェック
ETFの銘柄の情報は、東京証券取引所のサイトや、同取引所が運営する「東証マネ部!」のサイトにある銘柄選択の機能でチェックしたい。
平均売買代金(1日に売買が成立した額の平均)が少ないと、思うように売買できない流動性リスクがあるが、マーケットメイクという制度によって流動性が確保されている銘柄もある。「希望価格を指定する指値注文をすることで、予想外の価格で売買が成立する失敗を防げます」
世界を代表する憧れの【海外企業に投資する!】
ETFなら、数千円から海外企業に投資できる
あの企業に投資したい、でも株価が高くて手が届かない……。といった経験を持つ人も少なくないのでは? まして海外の企業となれば、情報のチェックも簡単ではなく、ハードルが高い。そこで選択肢となるのが、海外の企業に投資できるETFだ。コロナ治療薬で注目のロシュなど、世界規模で注目される企業に、少額で、間接的に投資できる。
有望と思える業種はどこ?【キャリアを投資に活かす!】
転職するならどの業種? ETFで特定の業種に投資
特定の業種の株式で構成される指数に連動するETFもある。世界的な高齢化で期待される医薬品関連、景気の不透明感から下がりすぎとみる向きもある銀行関連なども注目したい。「日本の強みである電子部品や、半導体不足など、働く女性は有望な業種もイメージしやすいはず。転職するならどの業種か、といった視点で考えてみるのもいいでしょう」
投資を通じて【経済に強いオンナになる!】
ニュースを賑わせる注目テーマに投資
ロボティクス、ESGなど、時代を反映するテーマ、経済を牽引する分野に特化したテーマ別指数に連動するETFも。「個性的なETFだけに旬が大切。出来高も確認を」(野尻さん)。テーマ型のインデックス投信もあるが、短期投資には機動的に売買できるETFが使いやすい。
有事に効く。【資産の一部を金で持つ】
コロナで景気は不透明、守りの投資に使う
コロナ渦に株はなぜ上昇? と思う人も多いはず。「主要国の中央銀行の動き次第では相場は不安定な展開も。金融危機など有事に強い金を資産の1割程度保有しておくのもよさそう」