シャープ【ヘルシオ ホットクック】の場合
自動調理鍋の市場がない! どうやって売ればいい?
コロナ禍に入った2020年4月から前年同月比3倍以上と大きく売り上げを伸ばしているのが、ヘルシオ ホットクックだ。1号機の発売は15年。開発自体は、その2年前にさかのぼる。
「当時は自動調理鍋の市場も売り場もなかったので、商品開発に強い訴求ポイントが必要になりました。その頃、売り場で人気だったのは高級鍋。無水調理だからおいしいと評判でしたが、使ってみると火加減が難しくて焦げやすい。これが自動でできると料理が苦手な人にも喜ばれるのでは、ということからホットクックのコンセプトが決まりました」
そう話すのは、課長の中島優子さん。サンプルが完成してからは、さまざまな年齢や属性の女性を集めてモニターアンケートを実施した。
「実際に使っていただくと『自動調理が魅力的』『手間がかからない』などの声が引き出せました。特に支持された30~40代をターゲットに、商品化を進めることに」(中島さん)
購買層を見極め2号機を投入。無線LAN機能搭載で躍進
1号機発売後のアンケートは、予想外の結果だった。
「ターゲットより上のシニア世代に支持をいただいたのです。ターゲットのファミリー世代には、1号機の1.6リットルだと小さくて足りない。翌年、2.4リットルの大容量タイプを発売しました」(中島さん)
大容量タイプを発売後、若い世代にも購買層が広がった。共働きが増加するにつれて、ユーザーの80%が週2日以上使うこともわかった。
「今度はメニューが足りないという声が高まり、17年に無線LAN機能を搭載し、クラウドからもメニューをダウンロードしてスマホと連携できるようにしました。売り上げが伸び始めたのもこの頃から。ビッグデータで使用状況を確認できるようになり、コロナ禍では朝や夜だけでなく、昼の使用率も高く、フル活用していただいていることもわかりました」(中島さん)
20年5月には独自のコミュニティ「ホットクック部」を立ち上げ、SNSを通じた情報発信やユーザー同士の交流を促した。レシピサービスやオンライン体験教室も開催。ユーザーとともに進化を続けるホットクックから目が離せない。
※金額は税別です。
※数字は雑誌掲載当時のものです