コロナ禍でテレワークやオンライン会議が当たり前になってきましたが、いざ人に説明しなくてはいけないとなると画面越しではこれまでのようにはいかないもの。ましてや数字をしっかりと相手に伝え、納得してもらうためには、どんなプレゼンが適しているのか。オンラインでもリアルでも使えるプレゼン術をコンサルタントの清水久三子さんに教えてもらいました。

小さな画面から熱い思いを伝えるには

コロナ禍で生活や働き方を制限されて約1年。テレワークやオンライン会議に慣れてきた人も多いでしょうが、その一方で研修やプレゼンテーションなど現場で行っていたことがこれまで以上にオンラインに移行され、課題も増えています。

プレゼンもその1つ。特に、上司や取引相手を説得しなくてはいけない数字を使う場面では、その資料とプレゼン力がモノをいいます。会議室ならば、身振り手振りや合間での相手との対話で盛り上げることもできますが、オンラインでは難しい。YouTubeの人気番組は一般的に3〜5分程度。素人が10分も一方的に話して相手に興味を持ってもらうのは簡単ではありません。だからこそ、PCなどの小さな画面上で伝えるにはテクニックが必要です。

相手はずっと画面を見て聞いていることを頭に入れ、プレゼンは短めの構成に。5分以内でいったん切り、「ここまではこういった話でしたが、ご質問はありますか?」と、振り返りや質問タイムを入れます。

パワーポイントならば、本編は3枚くらいに収め、3枚分話したら「ディバイダ」と呼ばれる目次などの区切りを挟みます。細かな資料は画面上では見づらいので「後ほど共有します」と、チャット機能やメールでサッと送るとスマートです。

罫線や色は最小限に伝えたい数字を強調

資料は、聞く側がPCやタブレット端末などの小さな画面で見ることを前提に、対面以上に情報をそぎ落とします。文字も18ポイント以上がオススメです。

図解や要素も詰め込まず、1ページ1図解1要素が基本。モニターによって色合いが異なって映ることもあるので、曖昧な色は使わず、最小限にすると見やすいでしょう。

表は細かくなると見づらいので、無駄な装飾や罫線けいせんなどできるだけノイズカット。強調したい数字の部分だけ棒グラフやピクトグラムを使ってもいいですね。見せたい数字を強調して、伝えたいメッセージをしっかり届けましょう。

オンライン資料の構成のコツ
伝えたいメッセージを数字に込める
Point7:強調はピンポイントで

伝えたいのは変化なのかシェアなのか

プレゼンで数字を伝えるときに、数字ばかりの生データをそのまま載せるのは絶対NG。分析することを諦めたも同然です。

グラフをつくることで満足してしまう人がいますが、そこから何を見せたいのかが重要です。見せたいところを強調し、そのグラフで伝えたいメッセージを文字にして1行程度で入れましょう。

グラフも、必要ない罫線や目盛りは消して、ノイズカットを心がけて。エクセルでグラフをつくる際「データラベル」を使うと、グラフが示す数字が入るので、強調したい部分だけつけてもいいでしょう。

量の変化なら縦棒グラフ、物事の変化なら折れ線グラフ、順位付けや比較ならば横棒グラフ、内訳やシェアならば円グラフが適しています。ほかにもさまざまなグラフがありますが、数字で相手に気づいてほしい効果を考え、最適なグラフを選びたいものです。

1つだけ気をつけるのは、数字自体をごまかさないことです。よく見せたいばかりに、実際の数字以上に見せてしまうグラフは真実を曲げ、信頼を落とします。数字自体はそのままに、見せ方で差をつけましょう。

最適なグラフを選ぶ
使い分けでこんなに変わる!/例1:事業の成長度
使い分けでこんなに変わる!/例2:2社の売り上げ比較
使い分けでこんなに変わる!/例3:少子高齢化の推移

いつもより熱量2倍、メイクはナチュラルに

オンライン上では、話し方や身なりも気をつける点が異なります。

まず、プレゼンの際はあなたがファシリテーターやホストとなることが多いでしょうから、少し早めにログインして参加者と挨拶や雑談をして、場を和ませるといいですね。

画面越しで伝わりにくい、熱量。発表者は、オーバーアクション気味でちょうどいいくらいです。動きが見えづらい分、声のトーンや抑揚、表情やうなずきなど、いつもの2倍を目安にして、熱量を高めましょう。

また、参加者側も聞いているだけだと飽きてしまうので、「質問はいつでもチャットに書き込んでください。後ほどお答えしますね」と最初に伝えておきます。すると、参加者はその時々で書き込め、発表者は区切りや最後に回答できます。

女性が悩むメイクと服選びですが、オンラインの場合はポイントメイク&暖色系のトップスがオススメ。メイクはナチュラルに、眉やアイラインなど顔の印象をつくる部分だけしっかり描きましょう。

声が聞こえやすいように外付けマイクを用意。時々カメラに目を向けてコミュニケーションを取れば、印象に残るプレゼンになるでしょう。

人を引き込むプレゼン話術コミュニケーション編
人を引き込むプレゼン話術話し方・魅せ方編

※資料例は、すべてAND CREATEが制作・提供