1億円貯めるようなお金持ちはぜいたくな生活をしていると思いがちですが、そんなことはありません。業務スーパーやコストコを愛用している人も多く、無駄な出費はとことん削っています。逆にキッチンや調理器具にはこだわり、お金をかけています。その理由とは? ファイナンシャルプランナーの藤川太さんに解説してもらいました――。
グラスに炭酸水を注ぐ
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高級鍋はコスパがいい

1億円貯まる人の消費の特徴を一言で表すなら、「徹底的にメリハリをつけていること」です。引き締められる部分はとことん出費を減らし、使うべき部分にはドカンとお金を使います。普通の人は、「自分へのご褒美」と称してお金を使うことを正当化しがちですが、お金持ちそうしたころはありません。

たとえば、食費に関連した部分では、キッチンにはこだわっているケースが多いようです。お金持ちの特徴として自炊をする人が多いので、使いやすいように先行投資しているのでしょう。

調理器具にもこだっています。たとえば、食パンがおいしく焼けると評判のバルミューダのスチームトースターなどを使っています。一般的なトースターが数千円で買えるのに対し、バルミューダのトースターは2万円以上の価格ですが、普通の食パンでもおいしく食べられるなら、また、長く使えるなら価格以上の価値があると判断しているのだと思われます。

同じ意味でル・クルーゼのホーロー鍋を利用する人も少なくありません。安価な食材でもおいしく調理することができますし、しっかり手入れをすれば一生使えるでしょうからコスパは悪くありません。

節約家が業スーで買うもの

お金持ちにとってキッチンや調理器具がハリの部分だとすれば、メリの部分は食材です。暑い季節には炭酸水やミネラルウオーターをまとめ買いする人も多いと思いますが、業務スーパーの炭酸水を愛用しているお金持ちもいます。

また、会員制スーパーのコストコで食材をまとめ買いする人も少なくありません。まとめ買いは節約の大敵ともいわれますが、お金持ちに関して言えばまとめ買いをしている人は多いです。まとめ買いした食材は、家に帰ってきちんと仕分けをして、倉庫や冷凍庫に保存しています。

食費の節約には“食材ロス”を無くすことが最重要

冷蔵庫にどんな食材がストックされているか、在庫をしっかり把握しているのもお金持ちの特徴です、毎日買い物をしていると、在庫を常に変化するので把握するのが難しくなるものですが、定期的にまとめ買いすることが在庫の把握がしやすくなることにつながっているかもしれません。

食費を節約するには、食材ロスをなくすことが最も大事ですが、そのためには食材をしっかり仕分けして保存したり、在庫の管理を徹底したりすることが有効です。また、食材がたくさんあれば、たくさん食べたくなるものですが、当然ながら「食べすぎ」も厳禁です。食材の管理はお金だけの問題だけではなく、健康管理にとっても大切な要素の一つです。「まとめ買い」をするかどうかではなく、それをどう生かすか、行動の部分でお金持ちと普通の人の差が出るのです。

調査でも判明、世帯年収の高い女性ほど調理器具にこだわる

少し前の調査ですが、博報堂研究開発局の「料理行動に関する調査」(2015年)を見ると、同じ傾向がみられます。首都圏在住の既婚女性を対象としたもので、50代~60代の世帯年収600万円以上をH層(平均世帯年収1027万円)、300万円以上600万円未満をM層(同444万円)、300万円未満をL層(同181万円)として集計しています。

調理に関して習慣的にやっていることとして、「加熱方法ごとに適した調理道具・鍋を選んで使う」と答えた人がH層では42%であるのに対し、L層では26.3%でした。「同じ加熱方法であっても、さまざまな調理道具・鍋を使い分ける」と答えた人もH層では31.3%であるのに対し、L層では19.2%と差がありました。

盛り付けも工夫しています。「料理や食材の彩を意識して盛り付ける」と答えた人がL層では45.5%であるのに対し、L層では19.9%にとどまっています。世帯年収の高い女性は、調理方法や料理の見た目にこだわり、おいしく楽しく食事ができる工夫をしていることがわかります。

調理・調理器具・調理家電・盛りつけで習慣的にやっていること

お金持ちは長く使うことを前提にモノ選びをする

お金持ちは調理器具に限らず、買ったものは長く使う傾向があります。財布、洋服、車も、気に入ったものを長く使います。言い換えれば、長く使うことを前提にしてモノ選びをしていることになります。

とくに財布にこだわっているお金持ちは多いようです。家計見直しの相談料を受け取る際に相談者の財布を目にすることになりますが、「この財布はこの部分が使いやすいんです」と熱心に話をしてくれる人もいます。

財布は買い換えようと思っても、なかなか気に入るものは見つかりません。だからこそ、気に入ったものを見つけたら、大事に長く使っているのです。

「お金持ちは長財布を使っている」と聞いたことがある人も多いと思います。その理由はお札をたくさん入れるのに都合がいい面もありますが、長財布のほうがお金の管理がしやすいのもメリットです。

さらに長財布の中でも札入れの部分が2つに分かれているものを選ぶ人が多く、お札とレシートを分けて入れています。そのほうが「お札はどのくらい入っているか」がわかりやすく管理しやすいからです。

逆にお金の貯まらない人の財布は、レシートやカードで膨らんでいたり、お札が乱雑に入っていたりすることが少なくありません。財布が乱れている人は、お金の使い方も同じように乱れている可能性が高いのです。心当たりのある方は、財布から見直してみてはいかがでしょう。