株式投資をするなら、現在の株価が割安か、それとも割高なのか、分析することが不可欠です。今回は資産運用に精通する公認会計士の足立さんからYahoo!ファイナンスの銘柄サイトを投資指標と株価チャートに分け、「ファンダメンタル分析」と「株価チャート分析」の基本を学びます。

Yahoo!ファイナンスで学ぶ、超簡単「投資指標&チャート」入門

株式投資で成功を目指すなら、直感に頼らずデータに基づいた分析法を身につけましょう。株式分析には「ファンダメンタル分析」と「株価チャート分析」があり、どちらも今後、株価がどう動くのか予測するのに役立ちます。

ファンダメンタル分析とは、会社の財務状況や業績、相場全体をとりまく経済情勢などを分析したうえで投資判断する手法のこと。一方、株価チャート分析は、過去の株価の推移から現在や未来の株価の方向性を判断する手法です。今回はお馴染みのヤフーファイナンスを使い、2つの分析法を解説します。

ファンダメンタル分析1
ファンダメンタル分析2

会社の利益と株価で判断。企業の実力がわかるPER

PERは、今後、会社が得るであろう純利益と株価を比較し、株価が割高か割安かを見るフローに注目した指標です。PERの倍率が低いほど利益に対し株価が低い位置にあるので、「株価に伸びる余地がある」と判断します。純利益はヤフーファイナンスの表にはありませんが、原則として前営業日までに会社が発表した予想当期純利益を使っています。

ただし、利益の変動が激しい会社のPERは大きく上下に振れがちで、時期によって5倍になったり、50倍になったりします。PERは業績が安定していて、毎期黒字のような会社を判断するのに向いています。

会社のフローより判断する「PER」

会社の資産と株価で判断。PBR1倍未満が「割安」

PBRは、会社が持つ純資産を企業価値ととらえ、株価と比較して割高か割安かを判断する、ストックに注目した指標です。純資産はヤフーファイナンスの表にはありませんが、原則として四半期ごとの短信発表実績値を使っています。

株価と1株あたり純資産が同じならPBRは1倍に。これは、その会社の株式を全部買い占めたときの購入額と、その直後にすべての資産を処分したときの売却額が同じになるということ。PBRは通常、1倍超ありますが、なかには業績がよいのに1倍未満の株式があり、その場合は割安感があると判断します。

会社のストックより判断する「PBR」

配当金を出すかどうかは会社が決めること

会社が事業で得た利益の一部は配当金として株主に還元されます。配当利回りは1株あたりの配当金を株価で割った指標で、預金の利息と比べて損得を考えがちですが、高ければ買ってよいというものでもありません。株式購入後に株価が下がると、配当金分の収益はすぐに打ち消されてしまうからです。

配当金を出すかどうかは会社の判断で、業績がよくても次の成長のため配当を出さない会社もあります。配当金を狙うならこれまで安定して配当金が出ているか、配当金が減る見込みはないか見極めましょう。

株主とのつながりを見る「配当利回り」

株主優待は個人株主を増やしたい会社の戦略

株主優待は会社が株主に対して行うプレゼントです。現在1000社以上が株主優待を行っており、個人株主や自社事業のファンを増やすための方策ともいえます。

株主優待を現金換算し、投資金額で割ると株主優待利回りが計算できます。これはヤフーファイナンスの表にはないので、自分で計算します。「株主優待があるから株式を買いたい、あるいは手放せない」という声をよく聞きますが、これは「安く買って高く売る」のが基本の株式投資としては本末転倒。株主優待に惑わされないようにしましょう。

プレゼントを現金換算して判断する「株主優待」

過去の株価推移から今後の傾向を探る

株式投資はどの銘柄を買うかも大事ですが、売買のタイミングを計るのはもっと大事。どんなに業績好調な会社の株式でも、高値で買いたくありません。そこで、過去の株価推移から今後の傾向を探るのが株価チャート分析です。株価には「トレンド」があり、いったん株価が上昇あるいは下降に向かえば、比較的長期間その方向性が続くという“クセ”があるからです。

ヤフーファイナンスの株価チャート部分には、おもにローソク足、移動平均線、出来高、各種指標などがあります。それぞれどんな役割をしているのか基本を押さえましょう。

株価の動きから判断する株価チャート分析1
株価の動きから判断する株価チャート分析2

現在の株価と移動平均線の関係を読み解く

現在の株価と移動平均線の関係を読み解くのは、基本的な株価チャート分析の1つです。移動平均線は過去の株価の平均を示し、現在の株価がその値を抜くか、それとも割り込むかを見て、今後を予測します。ここでは移動平均線と株価のくっつき具合、もしくは離れ具合というチャートの形そのものを見ましょう。

移動平均線で有名なシグナルは、上記の「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」。短期線が中期線を抜いたら、その後は株価が上昇する場合が多いとされます。その通りにいかなくても、株式の動きの“クセ”を見抜ければ投資判断に役立ちます。

株価の大きな動きを見る

大きな動きにはある程度の「トレンド」がある

株価は上下に動きながらも、大きな動きにはある程度の「トレンド」があります。上昇トレンドで買い、下降トレンドに転じたら売ればよいのですが、今後どちらに動くか簡単には予測できません。そこでチャート上に補助線(トレンドライン)を引くと方向が見極めやすくなります。

トレンドラインはローソク足の高値と高値、安値と安値を直線で結ぶのが基本。どの足を結ぶかは投資家の自由です。浮き出てくるのは一定期間の株価の方向性で、図以外にもさまざまな形があります。まずは、これはと思う銘柄チャートに線を引き、特徴をつかんでみましょう。

補助線で傾向を読む「トレンドライン」