外出自粛でネットの通信量が増え、通信業界は好況。株取引が増えて、ネット証券などの金融も好況。巣ごもり消費でネット通販の小売や物流も恩恵を受けた。

人々の生活が大きく変わりネット需要が高まる

新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の影響に明け暮れた2020年、コロナの影響の恩恵を受けた業界と打撃を受けた業界とで大きく明暗が分かれました。表は46業種のアップダウンを示したものです。

3月にはコロナパンデミックの影響で、いったん株価が大幅に下落しましたが、その後は、世界的に株価が上昇しました。米国株は史上最高値、日経平均株価も約30年ぶりにバブル後の最高値を更新。このように株価の変動率(ボラティリティ)が高い相場では、株をはじめとした金融取引が活発になり、金融業界は大きな恩恵を受けました。

もちろん医療・医薬品業界の需要は高まり、人々の生活を大きく変えた外出自粛要請で、通信、IT系業界も大躍進。テレワークの推進や「ステイホーム」で、インターネットのサービス利用が増えました。通販増大で物流も活況を呈しました。顕著な例としては、任天堂が挙げられます。株価は基本的に業績がよければ買われ、業績が悪ければ売られるので、株価がどれくらい上がったかで、おおまかな業績の動向を捉えることができますが、同社の株価は最高値をつけ、20年度の業績も過去最高の見通しです。ゲーム機の「ニンテンドー・スイッチ・ライト」や、ゲームソフトの「あつまれどうぶつの森」が爆発的に売れたからです。

業績が上がった業界一覧
任天堂の株価推移
コロナはまず、観光や運輸など移動にかかわる業界を直撃。外出自粛により、外食関連も軒並み打撃を受けた。テレワーク推進でオフィス需要が減った不動産も厳しい。

移動、対面、集客が厳しいが、ワクチンで光明も

かたや、コロナで打撃を受けた業界は恩恵を受けた業界よりはるかに多いです。移動制限によって、インバウンドや観光需要が消失しました。テレワークの普及もあり、空運、陸運は厳しい状況です。

JALは、公募増資などの手当てをしても、株価は、再建後の最安値圏まで低迷しています。

レジャー系の業種は人を集められず、軒並み苦しくなりました。飲食業では、休業要請や時短営業で、テイクアウト、宅配以外は壊滅的です。

オフィスの縮小や店舗休業、不動産購入が見送られたことで、不動産も影響を受けました。

アパレル、百貨店など対面の小売業は基本的に不調。レナウンのような大手企業が20年5月に経営破綻しました。

21年もコロナの影響がそのままなら、同様の傾向が続きそうですが、ワクチンで光明も見えるなか、ダウンした業界でも反転攻勢に転じる余地があります。

業績が下がった業界一覧
JALの株価推移

※業界一覧と株価チャートの出所はマネックス証券。一覧は2019年度の経常利益と20年度の予想経常利益を比較して上がった業界と下がった業界の増減率。