大手キャリアや格安モバイルが続々と新プランを発表。乗り換えやプランの見直しを検討している人は多いのではないでしょうか。マネーコンサルタントの頼藤太希さんが、自分に合ったプランが選びやすい比較一覧表を作成してくれました——。
テーブルの上に議題で電話をチェックする女性
写真=iStock.com/Pheelings Media
※写真はイメージです

大手3社に続いて楽天、UQモバイルも新プラン発表

NTTドコモ・au・ソフトバンクの大手キャリア3社が相次いでスマホ料金の新プランを発表。後発の楽天モバイルも新料金を打ち出し、シェア獲得をめぐる激しい争いが繰り広げられています。さらには、格安モバイルのUQモバイルも2月から新プランの提供を始めました。通信費は近年、家計の中でじわじわと存在感を増していますので、「安くなるなら乗り換えたい」という方も多いでしょう。

そこで今回は、どのタイミングで、どんな観点で乗り換えやプランの見直しを検討すればいいのか、後悔しない「乗り換え&プラン見直し」のポイントを紹介します。

値下げの背景に菅政権

スマホ料金の値下げの背景には、2020年9月に誕生した菅政権があります。菅首相は内閣総理大臣となる前から、「携帯電話料金は4割下げる余地がある」などと述べていました。そして就任後、携帯電話料金の値下げを重要政策に掲げ、大手キャリアに求めました。これに大手キャリアが応じる形で、相次いで値下げが行われているのです。

主なブランドの料金プランを比較したのが、次ページの表です。

比較検討のための「料金プラン一覧表」

主なブランドの料金プラン一覧
図表=筆者作成

auとソフトバンクがAhamoに追随

スマホ料金の値下げ競争に火をつけたのは、NTTドコモが2020年12月に発表した「ahamo(アハモ)」です。スマホ代というと、データ通信や通話のプラン、さまざまなサービスが追加されることで、複雑で高くなるイメージがありますが、ahamoの料金体系は月額2980円(税抜)で20GB+5分かけ放題というワンプライス。そのわかりやすさと安さは、驚きをもって迎えられました。

破格のサービスが出ると、シェアを一気に奪われかねません。auとソフトバンクも黙っていませんでした。もともとauにはUQモバイル、ソフトバンクにはY!mobileという具合に、「サブブランド」と呼ばれる格安スマホのサービスがありました。これらのサービスを値下げするとともに、ahamoに対抗するサービスを打ち出したのです。

auの「povo」(ポヴォ)はahamoより安い月額2480円(税抜)で20GB無料というプラン。オプションで5分かけ放題を月500円(税抜)でつければ、ahamoと同じ料金体系となります。

またソフトバンクの「SoftBank on LINE」も、月額2980円(税抜)で20GB+5分かけ放題というプランはahamoと同じですが、LINEのアプリで使用した容量はカウントされないという点で、差別化を図ろうとしています。

楽天は1GBまでなら0円

さらに、「第4のキャリアを目指す」としてサービスをスタートした楽天モバイルも新プラン「Rakuten UN-LIMIT Ⅵ」を発表。データ使用量が1GBまでであれば0円となるほか、

20GB以上使用しても無制限で2980円(税抜)という価格を打ち出しています。

これらのプランが安いのは、大手3キャリアの料金と比較すれば一目瞭然です。格安のプランに乗り換えれば、通信費はぐっと安くなります。

とはいえ、安さだけにつられて安易に飛びついてしまうと、あとで「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。そこで、乗り換え前に考えておきたいことを、大きく3つにまとめて紹介します。

「乗り換え&プラン見直し」の際に考えておきたい3つのこと

①乗り換えのタイミングはいつにするか

ahamo・povo・Softbank on LINEの3社のサービスは、いずれも2021年3月にスタートします。すでにahamoは発表2カ月で先行申し込み数が100万件を超えたと発表するなど注目されています。とはいえ、これから他のサービスでより有利な料金プランが出てくる可能性も考えられます。ですから、乗り換えのタイミングは各社の料金プランが出揃う3月以降でいいでしょう。

また、解約金にも注意が必要です。スマホの定期契約が終わる前に解約したり、他社に乗り換えたりした場合の解約金は、2019年10月に9500円から1000円に大きく引き下げられました。

しかし、ドコモの場合、2019年9月30日までに2年契約した場合は、次の更新月まで待ってから新料金プランに変更しなければ、解約した場合の違約金は9500円となります。たとえば、2021年6月に更新月を迎える人が、2021年4月から新しいプランに変更する場合、解約金は1000円ではなく9500円の解約金が請求されてしまうのです。なお、当初の2年契約経過後に解約した場合の解約金は1000円となります。

もっとも、あまりに古いプランのまま契約している場合、最新のプランに変更するだけでお得になる可能性もあります。乗り換えをしないという場合でも、一度今の契約状況を確認するのがおすすめです。

②実店舗や電話サポートがなくても自力で設定できるか

ahamo・povo・Softbank on LINEの価格は確かに安いのですが、落とし穴もあります。それは、申し込みからサポートまで、すべてがオンライン限定となっていることです。実店舗や電話などで直接問い合わせることができないので、スマホやネットに不慣れな人は、わからないことやトラブルが生じた際に不安に感じるかもしれません。

また、キャリアメールもないので、メールを使いたいときには外部のメールサービスのアカウントを設定する必要があります。ここでも、設定が苦手な人は困ってしまうかもしれません。

その点、同じ格安スマホでもUQモバイル・Y!mobile・楽天モバイルは実店舗もありますし、電話での問い合わせも可能です。自信のない方は、実店舗や電話でのサポートが受けられる会社を選んだ方がいいでしょう。

結局、どこの会社が自分に合っているのか

③どの会社に乗り換えるか

大手キャリアのNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天。いずれも、さまざまなサービスを展開している大企業です。関連サービスを利用すればするほど、ポイントが貯まりやすくなったり値引きを受けられたりする、いわゆる「経済圏」というものを展開しています。

たとえば、もしあなたが楽天の会員で、楽天市場をはじめとする楽天経済圏を活用しているというならば、楽天モバイルを利用すると、楽天のSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象になり、楽天市場で買い物をしたときに得られるポイントが+1倍されます。

このように、普段利用しているサービスとの相乗効果が望めるようならば、わざわざほかの格安スマホに乗り換えなくても、お得に使えるかもしれません。

申し込みからサポートまで全てオンラインでも構わないという方は、ぜひ大手キャリアの格安プランを活用しましょう。

総合点ではUQモバイルがイチオシ

大手キャリアと格安スマホのなかで総合的におすすめしたいのは、UQモバイルです。「くりこしプランS」であれば1480円+税という安さで利用できるうえ、余ったデータ容量は翌月に繰り越すことができます。2021年には5Gにも対応予定とのこと。対象エリアに住んでいるのであれば、ますます使い勝手がよくなります。

通話を重視するのならばY!mobileもおすすめ。「誰とでも定額」のオプションをつければ10分以内、「スーパー誰とでも定額」ならば24時間国内通話を無料にできます。ただし、「固定電話割」は固定電話を持つ必要性が薄れている現状ではいらないでしょう。むしろ、固定電話の契約を解除して通信費を下げたほうが合理的です。

2021年は、スマホ代が大きく下げられるチャンスの年になります。面倒くさがらずに、自分に合ったサービスをぜひ利用して、通信費の削減に取り組みましょう。