1億円貯めた女性は増やすことより減らさないことを重視
1億円貯めた女性はすでに十分な老後資金を確保していますから、いま関心をもっているのは、お金を増やすことではなく減らさないこと。株式などはキャピタルゲイン(値上がり益)が狙える一方で、危機の際には、半分程度に価値が下がる可能性があります。
2020年3月のコロナショックで日経平均株価は2月上旬の約2万4000円から3月下旬の約1万7000円まで30%程度下落しました。2008年のリーマンショックでは、直近のピークから約60%下落しています。
100万円の投資であれば、半値になっても60万円の損失ですみます。しかし、1億円のうち半分の5000万円を株式に投資していたとすれば、3000万円の損失になります。その損失には心が耐えられません。運用する資産額が増えるほど、経済ショック発生時の値下がりする額が大きくなり心が折れやすくなるのです。
お金持ちの人たちは、常に最悪の事態になったときのことを想定しながら、資産運用をしています。一つの方法が不動産への資産シフトです。不動産は、インカムゲインが得られます。インカムゲインとは資産を保有し続けることで継続的に得られる収益のことで、不動産の場合には、家賃収入がインカムゲインとなります。
資産が3000万円を超えたら不動産への資産シフトを検討
ただし、ある程度の資産がなければ不動産投資はできません。保有資産が3000万円に達したあたりから不動産投資を検討する人が増え、保有資産が5000万円を超えると実際に不動産投資をする人が増えます。
家賃収入は、比較的安定しています。景気によって多少の変動はありますが、株式のように半値になることはありません。収益が安定していれば将来の見通しがしやすくなりますので、お金持ちは好んで不動産に投資しているのです。
これから資産1億円を目指すなら、まずは3000万円を目標に資産形成をして、その後は不動産への資産シフトを検討するといいでしょう。もちろん、3000万円を達成するのは簡単ではありません。しかし、日本のお金持ちは増え続けています。仲間入りするのは決して無理な話ではないのです。私の周りには、普通の会社員で資産1億円を達成した女性も結構います。
資産1億円を超える世帯はこの6年で32万世帯も増加
野村総合研究所(NRI)の推計によると、2019年時点で純金融資産の保有額が1億円以上5億円未満の富裕層は日本に124万世帯、5億円以上の超富裕層は8.7万世帯でした。2013年時点ではそれぞれ95.3万世帯、5.4万世帯でしたから、6年間で約32万世帯が新たに、富裕層と超富裕層の仲間入りを果たしたことになります。
資産1億円を目指しながら、老後不安を解消するには、まず稼ぐ力を身に付ける必要があります。老後資金を考える場合、65歳以降は働かず貯蓄を取り崩しながら生活することを前提にすると、莫大な資金が必要になります。
しかし、70歳あるいは75歳まで働くことを想定すれば、必要な資金もグッと減らすことができるでしょう。仮に65歳から10年間、年収300万円を稼ぐことができれば、3000万円の老後資金を貯めていたのと同じ効果があります。そのためには、いまのうちから長く仕事ができる力を養っておく必要があります。
長く働くことは、年金にも有利です。公的年金は原則、65歳受給開始ですが70歳まで繰下げることが可能です。70歳受給開始すると年金額は42%アップします。これだけでも大きいのですが、2022年4月からは75歳まで繰下げが可能になります。受給額は65歳受給開始に比べて84%アップします。公的年金は当てにできないと考えている人は多いでしょうが、老後資金のベースになることは確かです。
家計管理能力を磨いて堅実な生活を楽しむ
もう一つ、大事なことは家計管理能力を磨くことです。あたり前のことですが、どんなに収入があっても、支出が多ければお金は貯まりません。限られた金額で生活できる自信がつけば、老後の心配も和らぐはずです。「質素な生活」をしなければと考えると、ネガティブに感じますが「堅実な生活」だと考えれば、ポジティブに捉えられるでしょう。ちょっとした発想転換で節約も楽しくなるものです。
イチロー選手に学ぶ「1億円を貯める」考え方
そもそも何かを達成するには、地道な努力が必要です。日本人メジャーリーガーとして活躍したイチロー選手が、ルーティンを大事にしていたことは有名な話です。食事や行動もそうですが、練習に関してもルーティンワークを取り入れていました。
ルーティンとは習慣化することですが、同じことを地道に繰り返すことでストレスが減り、効率を上げることができます。お金を貯めるのもの同じです。地道な努力を習慣化することこそ大事です。
努力を続けるには、目標設定も重要です。何も目標がなければ、つい無駄遣いをしてしまったり、自分に負けてしまう可能性があるからです。目標が明確であれば、それを目指して努力を継続できます。
たとえば1億円貯めた女性の中に、「自分が本当にやりたいことをするために、まずは1億円貯める」という目標を設定してこつこつ努力をした人がいます。自分が本当に実現したいこと、本当にやりたい仕事では、お金が稼げないということはよくあります。1億円貯めてお金の心配がなくなってから、自分の好きなことに打ち込む。そう目標設定をしたのです。
資産1億円を達成する女性には明確な欲望がある
目標は人それぞれですが、資産1億円を実現する女性たちは、何かしら強い目標を持っているような気がします。何かを実現したい、自分を表現したいとの欲望を持っていて、その実現を目標に設定して仕事や家計管理に励んでいるのです。大きな目標であっても、小さな努力をコツコツと積み重ねることが実現への近道なのです。
自分の実現したいことがまだ見つかっていない人は、金額を目標にしてもいいでしょう。40歳までに、あるいは50歳までに「1億円を貯める」など、期限を区切って努力をしてみてください。ごく普通の会社員で資産1億円を達成している人もたくさんいます。できる人とできない人の違いは、努力を続けられるかどうかです。
投資で資産を増やす人は、長くチャレンジを続けている
節約で資産を増やそうとする場合はもちろんですが、投資で資産を増やしたいと考える場合も、長く努力を続けることが重要です。投資というと、短時間で売買を繰り返す、デイトレードやスキャルピングを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、それは投資ではなく投機です。中には投機で莫大な金額を稼ぐ人もいますが、大きなリスクが伴います。堅実に資産を増やすには、時間を味方につける必要があります。
ビジネスには黎明期→成長期→成熟期→衰退期のサイクルがありますが、資産形成も同じです。しばらく低迷が続いた後、一気に資産を増やしてその後は再び低迷する。長い人生の中では、何度もサイクルが繰り返されます。
一気に資産を増やせる特別な時期にふさわしい方法を見つけて実行した人たちが、短い期間で爆発的に資産を増やすことができます。そのためには、成長期を見逃さないよう、投資をルーティン化して知識や経験を積み重ねておくことが大事です。幸運はしっかりと準備をした人にのみ訪れるのです。