無名ブランドのスポーツドリンクを愛飲
「ちりつも消費」の代表的なものといえば、外出中の飲み物代。ついペットボトルのお茶を買ったりしていないだろうか。藤川さんよると、節約家タイプのお金持ちの多くはコンビニエンスストアや自動販売機で飲み物を買わないという。
「お金持ちの人たちとテニスをすることがありますが、そんなときでも自動販売機で飲み物を買う人はいません。みなさん、家から持参していますね」
安売りスーパーでまとめ買いをしているのだろう。2リットルのペットボトルを持ってくる人が多いという。しかも、ポカリスエットやアクエリアスなどの有名ブランドではなく、誰も知らないような無名ブランドのスポーツドリンクを愛飲している。
中には、ペットボトルに水道水入れて、持参したスポーツドリンクの粉末を溶かして飲んでいる人もいるという。
「一度、飲ませてもらいましたが、とても薄い味でしたね」
薄味のスポーツドリンクも習慣にしてしまえば、気にならないのだろう。日ごろの生活の中でムダ遣いしない習慣がしっかり身に付いているわけだ。
ビニール傘はボロボロになるまで使う
ビニール傘も「ちりつも消費」になりがちだ。雨に降られるたびに買ってしまい、家にビニール傘が貯まっている人も多いだろう。一方でお金持ちは、出かける前に天気予報をチェックして、折り畳み傘を持って出かけるイメージもあるが、必ずしもそうではないらしい。
「ビニール傘を使っている人は意外に多いですね。ただ、ボロボロになるまで使い込んでいるので、お金持ちには見えませんね」
お金持ちは慌ただしく外回りをするような生活をしていないので、突然の雨に襲われる機会も少ないが、何らかの理由でビニール傘を買った場合には、壊れるまで使い続ける。1回使っただけで玄関に放置するようなことはしないのだ。
スタバで仕事はするが、テイクアウトはしない
カフェの使い方も違う。スターバックスなどでコーヒーをテイクアウトしている人も多いだろうが、それを会社や自宅に持ち帰って飲むと、割高になってしまう。
1億円を貯めた女性はコーヒーを持ち帰るのではなく、店舗を有効活用するケースが多いという。
「テイクアウトはしませんが、カフェで仕事をしている人はいますね。オフィス代わりと考えれば安いですから」
テイクアウトでも店舗利用でもコーヒー代は変わらない。仕事を兼ねてカフェを利用すれば、コーヒー代は高くない。
実際、藤川さんが相談者の家計診断をしてみると、スタバでコーヒーを買うのが習慣になっている人もいるという。習慣になってしまうと、とくだん喜びも感じない。無駄遣いはしているつもりがないのにお金が貯まらないという人に多いパターンだ。
改善するには、自分の消費パターンを可視化するのが有効だという。お金が貯まらない人の多くは「自分がどの程度のお金を使っているか」すら知らない。
お金持ちへの第一歩は消費パターンの可視化
代々の資産家ではないお金持ちは①節約家タイプ、②投資家タイプ、③高収入タイプに分けられることは何度も紹介しているが、このうち、節約家タイプのお金持ちのほとんどが家計簿をつけ、自分の消費パターンを分析しているという。
節約家タイプのお金持ちを目指すのであれば、自分の消費パターンを把握し、分析したほうがいいだろう。
「昔は手帳に記録するのを勧めていましたが、いまはスマートフォンの家計簿アプリを使えば、簡単に可視化できます」
家計簿アプリならキャッシュレスで使ったお金は自動的に記録されるし、現金で買い物した場合はレシートを写真に撮るだけでOK。1カ月ほど続けたら、自分の消費パターンを分析する。
「それによって、無駄なお金の使い方や節約のポイントが見えてきます」
たとえば、曜日ごとの消費パターンに着目すると、平日はほとんどお金を使わないのに、土日の出費が多いことに気づいたりする。なぜかと考えてみると、休日のデパートで買い物をしているのが原因だとわかる。
一日の中で時間帯別の消費パターンも分析しよう。たとえば、毎晩のように1000円ほど使っている人が原因を調べてみると、コンビニでスイーツを買うのが習慣になっていたりする。
そうした、「ちりつも消費」が毎月数万円に及ぶケースもあるだろう。
「ちりつも消費」が年14万kcalの摂取につながる
実は「ちりつも消費」がダイエットによくないとの調査がある。ファンケルが首都圏在住のアラサー(25歳~34歳)・アラフォー(35歳~44歳)の働く女性300人を対象に、「食生活実態調査」(2017年)を行ったところ、「ちりつも行動」が摂取カロリーにも大きな影響を及ぼしていることがわかった。
それによると、仕事のある日には約3割の人がカフェラテやカフェモカを飲んでいた。さらに、約5割の人が仕事の合間にチョコレートやクッキーなどの甘いものを食べ、約3割が自分へのご褒美として夜にスイーツを食べていた。
調査対象者全体で集計すると、約9割が何らかの「ちりつも行動」をとっていたという(図表1)。
これらの「ちりつも行動」にかかる金額は相当なものになるだろうが、摂取カロリーも恐ろしいことになっている。たとえば、朝にカフェラテ(94kcal)を飲みながらクッキー1枚(52kcal)とチョコひとかけ(22kcal)を週5日間続けた場合、1年間(52週)で4万3680kcalに達するという。
これは、体重50kgの女性が1日1時間のウォーキングを277日間実践しなければ、帳消しにできないカロリーだ。さらに昼と夜を加えた1年間の「総ちりつもカロリー」は14万244kcalに達する。
習慣になっている行動が財布にも体にも悪い影響を及ぼしていることになる。
パートナーが料理好きなら確実にお金が貯まる
習慣という意味では、お金持ちには料理好きの男性が少なくないという。
「料理を趣味にしていて、凝ったものをつくる人が多いですね」
カレーであれば、市販のルーは使わずにカレー粉からつくる。研究熱心で料理本などを参考に新しい料理に挑戦することも多いという。
材料費はかかるかもしれないが自炊を楽しむことは資産形成にも役立つ。日ごろは妻が食事の担当をしている家庭でも、ときには夫がおいしい料理をつくり、後片付けまでしてくれたら妻も気分転換になる。今日は疲れたから「外食したいなあ」と思ったときにも、ブレーキをかけられる。
「仮に1回の外食で1万円かかるとすれば、やめることで1週間分の食費が捻出できますから節約効果は大きいですね」
家族で協力しあえる関係ができていれば、生活の質を落とすことなく、節約が実現できそうだ。